コンセプトConcept

「ER・総合外来研修から学ぶprimary care能力の養成最新のEBMに基づいて」
「診断から治療まで疾患別に専門性の高い医療を研修する」

ER, emergency room; EBM, evidence-based medicine

糸魚川総合病院の初期臨床研修プログラムの最大の特徴はER・総合外来研修が全ての診療科研修期間に組み込まれ、ER・総合外来研修で経験した症例を用いた特別プログラムを日常研修に取り入れていることです。
当院は地域で唯一の総合病院であるためこの地域で発生する全ての疾患を経験することができます。初診外来が終了する午前11時以降はER・総合外来での診療が中心となり、そのためER・総合外来研修では必然的に様々な疾患のprimary careを経験することになります。更に特別プログラムとして、ER・総合外来研修で遭遇した症例を用いた「臨床推論」と、各領域の専門医が複数人参加して行う”研修医がER・総合外来で経験した全症例”の「検討会」をそれぞれ週一回開催しています。いずれの会も雰囲気は和やかで自由な発言、強烈なジョークが飛び交う中、知識が定着していくのを実感できます。
当院のER・総合外来研修はこれでは終わりません。総合診療系の著名な外部講師による「臨床推論」や「外来指導」の定期的な開催(希望する医学生も参加します)、前プログラム責任者である山岸病院長の呼びかけで結成した上越地区の教育関連グループ「レジデントサークル不識庵」での外国人講師も含めた外部講師によるイベントなど。ER・総合外来研修を充実させるため様々なコンテンツを揃えています。

プログラム責任者 澤田成朗

医療はまさに日進月歩、あらゆる疾患、病態への考え方は日々刻々と変化しています。これまでの常識が覆され、近年のIT化の中で、変化のスピードは増し、情報取得の地域格差はほぼ解消されています。この事実は、医師一人一人の(最新の医療情報を入手するという)意識の差が、そのまま提供する医療の質の差につながる事を意味します。前述した様々なコンテンツは、たとえcommon diseaseであっても最新のEBMに基づく医療を行う手助けとなるだけでなく、その過程を早い時期に体験することが将来一段高い意識で医療を行うための礎になります。

地域で唯一の総合病院であることのもう一つのメリットは、primary careで対応した疾患をそのまま当院で専門医レベルでの治療経過を研修できることです。富山大学や新潟大学との連携から当院の常勤医は高い意識で治療を行っています。たとえば今年開設された膵臓・胆道センターは富山大学附属病院のサテライトとして機能し、富山大学で開催している週一回の肝胆膵キャンサーボードにビデオ通話で参加することで、トップレベルの内容を糸魚川で研修できます。更にこの検討会で症例を提示しdiscussion能力を高めることも可能です。当院の指導医・上級医はみな教育意識が高く、研修医と共に学ぶことで医療の質が向上することを知り、自分たちの持っている知識や技術を惜しむことなく後輩に伝えようとしています。
見学はいつでも受け入れ可能です。また外部講師を招聘してのイベントへの参加も可能です。希望される方はお問い合わせください。2年間という限られた初期臨床研修期間を糸魚川で過ごしませんか?医師として働く基礎をしっかりと学ぶことができるはずです。

初期臨床研修の理念と基本方針

臨床研修の理念

  1. 当院の理念、基本方針のもと、社会人としての規律を守り医師としての自主性と高い倫理観を持った思いやりのある人格を涵養する。
  2. 医学および医療の果たすべき役割を認識しつつ、科学的根拠に基づいたglobal standardのプライマリ・ケアを実践し、基本的診療能力を身に付ける。
  3. 将来個々が目標とし、かつ社会から求められる医師として研鑽しつづける能力を身につける。

臨床研修の基本方針

  1. 地域唯一の総合病院としての病院の役割を理解し、全人的な視点からプライマリ・ケアを研修することで、基本的な診療能力(知識、技能、利他的な態度)を習得する。
  2. 他職種と連携して地域医療の現状を理解し経験する。
  3. 質の高い医療を提供するよう、生涯に渡って学び続ける姿勢を養う。
  4. 臨床研修には協力型臨床研修病院を含む全ての病院職員が参画し、研修医とともに学ぶ。
  5. 医療安全と指導体制を充実させて、研修医の身分を保証し、労働条件の改善に努め、臨床研修の効率を高める。