読者の皆さま、ドクターストップといえば、何を連想されますか? ボクシングですよね。試合中に選手が負傷し、医師が試合継続不可能と認めることをいいます。また、それとは別の意味合いでのドクターストップは、医師が患者に対して、病状や障害の悪化、死に至ることを防ぐなどで、何らかの行動を禁止することをいいます。この年になるとよく耳にするドクターストップ、それは中年に多い不摂生ですよね。
「お酒を飲んではいけません。」(アルコールは主食です。)
「甘いものは控えて下さい。」(人生の楽しみ半減しちゃう!)
「塩分、脂の取り過ぎに注意。」(背脂ラーメンはダメなの?)
「禁煙して下さい。」(タバコは中学生の時にやめました。)
さて、このドクターストップ、うちのリーダーにもかけられてしまったのです。彼は先日人間ドックを受けました。
「昨年より、5センチ減っています。」
おへそ周りを測ってくれた看護師さんから、褒めてもらいました。血液検査や腹部超音波検査にも異常なし。
「あなたの年齢(50代独身男性)にしては、素晴らしい検査結果です。摂生していらっしゃるのですね。」
先生からも、褒めてもらったそうです。
「えっ? では、なぜドクターストップなの?」
そう思われるでしょう。実はうちのリーダーにかけられたドクターストップは、『ダンス』です。(ムンクの叫びマーク!!)
うちのリーダーは「腰すべり症」を患い、痛みと戦いながらもダンスを続けてきました。(第157話)鎮痛薬を飲み、コルセットを巻いてダンスして、整体で勧められた腰に良いという敷き布団(なんと20万円)まで購入しました。しかし、痛みはどんどん悪化する一方です。かつてはダンスホールで、『踊り続けるダンサー』と褒めてもらっていたリーダーですが、今では1曲も通して踊れません。ラテンはまだマシだそうですが、スタンダードは無理。背を反らせたり、ライズすると、激痛が走るそうです。腰の神経が圧迫されるのですね。
「痛いこと(ダンス)をしてはいけません。」
炎症を起こしている腰の神経の腫れを引かせるために、うちの病院の整形外科のO先生から、ドクターストップがかかったという訳です。
彼の場合のドクターストップは、約1ヶ月間です。しばらくダンスを休んで腰に負荷をかけないことで、神経の炎症を引かせて、痛みがとれることを期待します。その後に痛くならない範囲で、ダンスを続けても良いとのこと。
「いっそ、手術すればいいのに…」
そう思われがち。整形外科の先生のお話によると、骨を削って背骨同士を固定する手術を受けたら、痛みはとれるそうです。でも、痛みがとれたからと調子にのってシャカシャカ踊ったら、骨のつなぎ目の部分に負担がきて、今度はそこがやられてしまうそうです。よってアスリートには、腰の手術は勧められないとのこと。そう言われれば、うちのダンススクールで腰の手術を受けた先輩、手術して痛みはとれたのに、その後は歩けなくなってしまったと聞きます。(涙)ダンス、太く短く? それとも、細く長く?
リーダー:「国道8号の自転車パトロールにも、ドクターストップがかからないかな?」
パートナー:「O先生、前屈みで自転車をこぐのは、全く問題ないって。」
リーダー:「……。」
著者名 眼科 池田成子