社交ダンス物語 268 リーダーとパートナーの会話 24

コラム

 寒い日が続きます。暖房のない真冬の病院の講堂には、ダンスの練習に勤しむ50代独身男女の姿あり。二人とも、病持ち。中高年アマチュアとはいえ、競技選手として往生際悪すぎ? リーダーは痛いお尻を押さえつつ、パートナーは大きなあくびをしながら、春の大会に向けてやわやわと(富山弁でゆっくり)ルンバ・ウォークを踏んでいます。

パートナー:「ああ眠い。この病気(第267話)、眠くなるの。」
リーダー:「そのようだね。」
パートナー:「それにこの病気、忘れっぽくなるの。ひらがなが、出てこない。『ぬ』とか『ね』。ぬ、ぬ、ぬ…と、声に出して書こうとしても、字が思い浮かばないの。カルテの英語はサラサラと書けるのにね。」
リーダー:「スマホやパソコンの時代だ。字を書けない人は多い。心配いらないよ。」
パートナー:「怖くなってお坊さん(弟)にメールしたら、『読めればよし』ですって。」

 それから二人はダブル・ホールドで、よたよたしながらメダル3級の足型を踏み始めました。今年の自分たちのテーマは、『立ち』と『待ち』です。

リーダー:「成子さん、僕たちはラテンB級だ。」
パートナー:「そうよね。」
リーダー:「Bの次は、何だ?」
パートナー:「Aよ。(ひょっとしてC?)」
リーダー:「そうだ。Bの次は、Aしかない!」


☆ 挑戦だけがチャンスを作る。病気とは上手に付き合いましょう。(笑)

著者名 眼科 池田成子