社交ダンス物語 264 続・光のある方向へ

コラム

 窓の高さを境に成長が止まってしまった先輩ことアボカドは(第263話)、まるでこの先を考えているかのごとく、広がっていた葉っぱは「く」の字にきゅっと固く縮まり、低迷状態。それからというもの、まっすぐに上へ伸びていた枝が回旋しながら下降し始めたのです!(まるで、自分たちのダンスと同じ?) リーダーの腰が悪化してからは、自分たちのダンスは『時間制限』という弱点ができてしまいました。競技会では『痛み』との戦いです。まるでウルトラマンの胸にある『カラータイマー』のごとし。組んで踊っていて、ピコピコと『赤』が点滅しているのが、リード以上に伝わってまいります。うちのリーダーにとって、試合で1ラウンド(1分半)を全力で踊りきれるかどうかが、やっと。(涙)

 ダンスがままならないというストレスを抱え、もやもやした気分で日々を過ごしていた自分でした。先月、糸魚川市後援、JAひすい・糸魚川総合病院主催の健康講演会がヒスイ王国館で開催され、自分はそこで講師を務めさせていただきました。タイトルは、『眼から見えてくる人生100年時代の過ごし方、健康寿命を伸ばすためにやるべきこと』でした。健康寿命とは、介護を受けたり寝たきりになったりせずに、自立して日常生活が送れる期間を意味します。スライドを流しながら講演していて、スランプに陥っているチビ・ハゲカップルはどうあるべきか、今何をすべきか、その答え(光)が自分には見えてきたのです。

 人生100年時代と言われる現代において、健康寿命を伸ばすためには10年先の自分を見据えることを講演会で提唱いたしました。ストレス、糖尿病は万病の元です。様々な病気を招き、病気を悪化させてしまいます。病気にならないことが一番です。でも、なってしまったものは、仕方ありません。車検ではブレーキパッドやバッテリーを交換するし、すり減ったタイヤも交換しますよね。人体も車と同じです。長く使っていると、あちこち故障してくるし、痛い所が出てくるのがフツーです。病気と上手につきあうことが肝心。そのためにも、定期検査、そして食事に気を配り、肥満にならず、毎日ちょこちょこ体を動かすことも大切です。そして、趣味を持つこと。人生の大先輩いわく、楽しまなければ長生きできないそうですよ。

 平成28年国民生活基礎調査によると、要介護となる原因疾患のベスト5は、認知症、高齢による衰弱、脳卒中、骨折・転倒、関節疾患でした。ここで、眼と健康寿命は大きく関連しています。視覚障害による転倒のリスクは14倍、視覚障害があると認知症の人は、身体的機能障害を起こすリスクが3~6倍と言われています。ちなみに、2018年における視覚障害の4大疾患は、1位が緑内障、2位が網膜色素変性症、3位が糖尿病網膜症、4位が加齢黄斑変性症でした。

 あっ、いけない! 眼科医、話をダンスへ。うちのリーダーは、要介護を招くベスト5の関節疾患を患っております。当院のスポーツドクターY先生によると、膝や腰の関節の場合は体重を減らす(関節への荷重を減らす)ことで、痛みを軽減することができるそうです。競技会でカラータイマーが『青』である時間を少しでも伸ばすためにも、うちのリーダーは減量すれば良いのですね。華奢なスポーツ選手といえば、羽生結弦選手があげられます。細長い首筋と腕、きゅっと引き締まったウエスト、そしてヒップライン。その美しさにはため息が出ますよね。腰の病気と上手につきあい、ボールルームダンスのグランドシニア選手として10年先を見据えるなら、トトロのようにずんぐりとしているうちのリーダーは、羽生選手のようなクレイン(鶴)に変身しなきゃいけない? 人生の楽しみはダンス、その目標を達成するための手段は減量です。チビ・ハゲ、くよくよせずに、前向きに目標を目指します!(笑)


☆中年のダイエット、それが一番ムズカシイ(笑…涙)

著者名 眼科 池田成子