社交ダンス物語 263 光のある方向へ

コラム

 リーダーの腰が悪化してからというもの(第250話)、病院の講堂でのカップル練習は困難、ダンスは中断しております。「これ幸い!」とばかりに、パートナーはちゃっかり『怠け癖』がついてしまいました。仕事を終えたらひとりでシャドウもせず、帰宅して晩酌です。50過ぎのオバさんが運動もしないで、たらふく飲んで食べたらどうなるか、ご想像なさってみてください。テキメンです!おヘソ周りに脂肪が…(ムンクの叫びマーク)『敵』は手強し。ちょっとやそっとのダイエットでは、太刀打ちできません。(涙)

 さて、不良から更生した先輩ことアボカド(第258話)の成長ぶりも、ご報告させていただきます。剪定されてからは正しく『縦』へ伸びておりましたが、窓の高さを境に、ある日ピタリと成長が止まってしまったのです。アボカドは計算しているのでしょうか? お部屋でこれ以上伸びても、光は入りませんので。光のある方向へ植物は伸びてゆきます。光がないと生きてゆけません。成長が止まったといえば、自分たちチビ・ハゲのダンスもそうなのでしょうか?(涙)

 生きてゆく上で、光は不可欠です。光はいわば希望、生きる源です。希望がないと、人は生きてゆく張り合いがなくなってしまいます。
「僕もA級になれるでしょうか?」
かつてうちのリーダーは、ボールルームダンスのA級選手であり、全日本グランドシニアチャンピオンの肩書きをお持ちのK選手(第153話)に、恐る恐るたずねたことがあるそうです。
「なれます。」
K選手は、そう答えてくださったそうです。下の選手に、光(希望)を与えてくださったのですね。

 アマチュア競技選手のパートナーさんへ。ダンス昇級できないからとリーダーさんを、ガミガミ叱らないで下さい。
「先生と違う!」
「そんなリードじゃ、伝わらない!」
リーダーさんにそう言いたくなるお気持ちは、よく分かります。でも、あなたのリーダーさんには『可能性』が秘められているのです。なぜなら、まだ踊っていられるのですから。どうか、希望(光)を与え続けてあげてください。自信につながることでしょう。ノービスなら突破、D級ならC級へと昇級できます。自分は社交ダンスをしないという女性の方へ。どうかご主人に光を与え続けてあげてください。うちのダンナは会社ではダメ男では?と思っていても、奥様の愛情(光)があれば『平』から『係長』へ、そして『係長』から『課長』へと昇級なさる可能性があります。自分はダンスもしなければ、ダンナもいないという方へ。職場の人、お客さん、そして身近なご近所さんに笑顔(光)を与え続けてあげてください。お釈迦様の教えでは、『笑顔』も『お布施』のひとつです。
『情けは人の為ならず』
きっと良い報いが、あなたに戻ってくることでしょう。


☆チビ・ハゲに光を!(涙…笑)

著者名 眼科 池田成子