社交ダンス物語 261 リーダーとパートナーの会話

コラム

 スポーツの秋です。夜中の病院の講堂には、ダンスの練習に励む50代独身男女の姿あり。ボールルームダンスとは、男子のリードを受けて女子は踊るもの。二人でダンスを踊っていて、「オォーッ」とリーダーは嘆きの声をあげています。そして深いため息が…。
リーダー:「成子さん、自分で順番を決めて、勝手に踊っていない?」
パートナー:「だって、リードが伝わらないんだもの。」
リーダー:「女子は足型が曖昧でも、ちょっと待ってくれていたら、リードは伝わるはずだよ。」 

 パートナーはマイペース、どんどん先に我が道をゆくと、リーダーは嘆いています。ちなみに、リーダーがため息をつく箇所は決まっています。ワルツなら、ウイーブからアウトサイド・チェンジ、そしてナチュラル・ターンを仕掛る所。パートナーはそこで、PPに開いてしまう。スローの場合、スリー・ステップからホバー・クロスを仕掛けようとする前に、女子は後退してしまう。つまりパートナー(女子)は、リーダー(男子)が仕掛けたステップとは、全く別物のステップを踏んでいるのだそうです。そんな時、男はガッカリするのだとか。

リーダー:「女子に負けないよう、自信を持ってリードを仕掛けなさいと、コーチャーから言われたけれど…。」
パートナー:「リードが遅いのよ。」
リーダー:「そんなことないよ。パーティーで、成子さん以外の女の人と踊ったら伝わるもの。自分から動かないで、リードを待ってよ。」
パートナー:「私、待つ・受ける・ゆだねるが、苦手な女なの。」
リーダー:「……。」
パートナー:「ところで、男の人って自分のリードが女の人に伝わることで、喜びを感じるの?」
リーダー:「ダンスでは、喜びを感じる前に脱落する男の多いこと多いこと!」(涙…涙)


☆「池田さん、アウトサイド・チェンジの二歩目で、左回転を感じなさい。中心軸に自分が乗っていれば良いのに、開きっぱなしです!」:コーチャーの言葉

著者名 眼科 池田成子