皆さま、こんにちは。糸病・眼科の池田です。糸病コラム『社交ダンス物語』をご愛読いただき、ありがとうございます。おかげさまで2008年4月から11年連載させていただいております。これもひとえに病院の理解、そして読者の皆さまのご支援があってこそと深謝しております。さて筆者の苦手なものの一つに『パソコン』があると申し上げました(第37話)。病室へ回診にまわると、ご高齢の患者さまたちが指でシャッシャしていらっしゃる光景を目の当たりにします。それを見た眼科医は威圧感に押され、後ずさりするのです
「孫が教えてくれてねぇ」
四人部屋にいらっしゃる80代の女性患者さま、スマホを笑顔でリズミカルにシャシャッ。筆者が幼稚園児だった昭和40年代は、エレベーター(上り下りする箱)やエスカレーター(動く階段)の前で尻込みしているご老人の姿があったものです。時代の変遷は凄まじいものですね。
ちなみに機械音痴、自称『石器人』の自分は、年季の入ったガラケーを細々と使用しておりました。
「今どきのお医者さんがガラケーだなんて、患者さんは怖がるよ。」
リーダーからの強い勧めもあり、先日やっとスマホデビューいたしました。ガラケーからスマホへ替わったら、石器人はおののくばかり。ますますハゲそうです。そもそも紙の取り扱い説明書がありません。スマホって、まるで生き物のようですね。ちょっと触れただけでカメラは作動するわ、ピロンと突拍子なく音をたてるわ、呼び出していないものが出てくるわ…。リーダーがすごい犬の写真を送ってくれたので、試しにそれをお坊さんである弟(第52話)に、転送いたしました。すると返信が…。
「画像が大きくて見れません。」
実は弟も、ガラケーだったのでした。
「今どきのお坊さんがガラケーだなんて、門徒さんは怖がるよ。」
石器人、したり顔で送信。(笑)弟がスマホデビューしたのは、その翌日のことでした。ちなみに前段のすごい犬とは、リーダーが行きつけの床屋のワンコ。おなかとタマタマを丸出しにして、ゆりかごの中で四つ足を広げ、気持ち良さそうにお昼寝しています。
さて現代に生きる石器人こと筆者、スマホがコワいだなんて言っていられません。ダンス活動に、大いに役立ちますので。通常ダンスの競技会では、各ラウンドごとに次の試合に進出できる選手の背番号と名前がボードに貼り出されます。出場組数が多くドングリの背比べと喩えられるスタンダードC級では、一次予選の結果が貼り出されるや否や、その用紙目がけて200組の選手が一斉に群がります。押せば押せ。押せば押せっ! まさに地獄絵状態?
「あーっ 押さないでー!」
競技結果を貼り出した先生は選手達からもみくしゃにされ、悲鳴が…(カワイソウ)。ちなみに、出場組数の多い関東甲信越競技ダンス群馬県大会および栃木県大会では、群がらなくてもスマホでアプリを入れれば競技結果が見られるシステムが導入されました。安全かつスマート、昨今の情報技術の進歩には目を見張るものがあります。
情報技術の進歩といえば、医療の現場では電子カルテですね。とはいえ当院は未だに紙カルテです。医学の進歩で、みんな長生き。超高齢化の進む糸魚川市、患者さまの紙カルテはどんどん分厚くなる一方です。カルテ用紙はちぎれてファイルはバラけるし、重くて片手で持つことはもはや困難。(女性職員の二の腕は年々太くなる?)またカルテの管理や保管スペースの問題もあり、現在当院ではカルテの電子化に向けて検討しております。その中でひとつ問題が…。それは眼科の手書きのスケッチの電子化です。
「ちょっと待って。眼科はお絵かき…。」
そう申し上げながら、自分は診察の際に患者さまの眼の所見を紙カルテにスケッチしています。眼科の手書きスケッチは非常に重要であり、必要不可欠な特殊性のあるデータです。そのための画像形成ソフト(お絵かきソフト)を導入するとなると、相当の予算が必要とのこと。よって医局から、新潟県厚生連本部へ要望書を提出してくれるそうです。ありがたいこと。でもここで、もうひとつ重大な問題があります。お恥ずかしながら当人の眼科医、スマートフォン同様に電子カルテがコワいっ! 現代に生きる石器人、うちの病院が電カルになったら、この年(アラフィフ)でお医者さんは引退なの? 人生100年時代。ねんきん定期便、退職金そして預貯金を推定余命で割り、電卓たたいてムンクの叫び!(涙…涙)
☆成子さん、ギガエグくてイイよ!(笑):リーダー談
著者名 眼科 池田成子