先日、美容院へ行った時のことです。普段は目を通さない女性週刊誌の見出しに、眼科医ビックリ仰天!
『白内障は手術しないで治す』
眼科医、食い入るように読みました。某週刊誌によると、毎日10分間、目に器械を当てるだけ。そこから超音波が流れて、白内障治療に効果的だそうです。器械を購入すれば、自宅で治療が可能とのこと。ご存知のとおり、白内障は年をとれば誰もがなる水晶体(目の中のレンズ)が濁る病気です。ゆえに白内障の手術は、我が国で最も多く行われている手術であります。
横浜で開催された眼科手術学会に参加したのは、その1週間後のこと。そこでは最先端の医療器械が展示されていました。最新型の白内障手術装置の紹介もありました。私たち眼科医は超音波装置を用いて、わずか2ミリ強の傷口から顕微鏡下で手術を行っております。白内障手術は短時間で簡単に終わると思われがち。患者さまには約15分間、仰向けになっていただくだけですから。でも、人の眼には個体差があります。表向きは笑顔でも、眼科医が身震いするような難症例もあります。執刀医は法廷と背中合わせ。手術しないで白内障が治せる時代が来ることは、眼科医にとって夢のようなお話であります。
切らずに病気を治せたら、最高です。学会の教育セミナーでは、とても興味深いタイトルがありました。霰粒腫(さんりゅうしゅ)の『切らない治療』です。俗にいう、『ものもらい』ですね。手術学会というのに真逆のタイトル。ステキ!自分は聴講に馳せ参じました。講演してくださった先生によると、温庵法(蒸しタオルなどで患部を温める)とリッドハイジーン(第240話)で、まぶたのしこり(肉芽腫)が消えるそうです。早ければ数週間から数ヶ月、遅い人は数年。痛くもなく、切らずに治るなんて嬉しいですよね。ただし、保険会社の医療特約のごとく、キビシい条件付き。しこりが消える確率は、30%から80%(えらい差)。しかもこの場合の『治る』は、8割小さくなれば成功とするそうです。霰粒腫を完治させるためには、やはり『手術』で完全にしこりを取り除くことが基本のようです。
前段のごとく、私たちの周りは飛びつきたくなる『おいしい話』で溢れています。女性週刊誌にありますよね。『食べながら痩せる』、『金運が向く財布』、『幸運を呼ぶブレスレット』など。溺れる者は藁をも掴む?『ほうれい線を消す』『育毛効果』『××が大きくなる薬』もそう。コンビニやスーパーも、消費者の購買意欲をそそる、おいしいうたい文句でいっぱいです。『お肉屋さんの肉団子、粗挽き肉の旨みが口にひろがる』先日買いました。コロンと大粒の肉団子が6個入っていて、225円とお値打ち価格。さて、お味は… タレは黒酢が香ってナイス!団子はふんわり柔らか。お子様やお年寄りに喜ばれること間違いなし。ところで、お肉屋さーん。つなぎ多すぎ!一体どこに、お肉があるの?
☆ 『何点か気をつければ、あなたもプロのようなサンバを踊れるでしょう』
ダンスDVDビデオにデモデックスのごとく(第240話)、チビ・ハゲがっちり食らいつく。(笑)
著者名 眼科 池田成子