長岡市みしま体育館で開催された2018年前期、関東甲信越シニア・グランドシニア競技ダンス新潟県大会において、シニアラテンA級、シニアスタンダードB級に出場いたしました。必死で手に入れ維持してきた、自分達の持ちクラスです。
午前のラテンA級、一次予選にて。フロアサイドでは選手たちは一斉に整列しています。自分達チビ・ハゲ組の隣には、尊敬するK組がいます。K組とは、東日本県別対抗(第156話)そして全日本シニア10ダンス選手権(第177話)でご一緒させていただきました。そして先般開催されたスーパージャパンカップ、ラテンアメリカン・グランドシニアの部で、みごと優勝なさいました。新潟が誇る全日本チャンピオンです。うちのリーダーに、爽やかな笑顔で話しかけて下さいます。
K選手:「今日は敗走しなくてもいいよね。」
リーダー:「新潟の試合で、勝ったためしはありません。」(第154・第161)
背番号は一つ違い、フロアサイドでK選手のお隣に並ばせていただき、うちのリーダーは自分が凄い選手になった気分で感銘を受けています。試合開始直前に、館内アナウンスが入りました。
「男性トイレに財布が落ちていました。お心当たりのある方は、司会席までお越し下さい。」
すると静粛なフロアサイドから紳士(選手)達のざわめきが、一斉に聞こえてまいりました。
「オレのだ! オレのだ!」(まるで、大合唱)
競技結果は… 自分達は4チェック、みごと一次予選敗退。(涙)一回負けの後、選手控えのコーナーですごすごと競技用ドレスを脱ぎ始めました。
パートナー:「石(ラインストーン)、一つも落ちていないわ。」
リーダー:「汗もかいていないよ。ラテンのドレス、洗濯しなくていいや。」
上級選手は一試合踊っても、汗でびっしょりです。自分達は筋肉が使えていないせいか、汗も出ず。そして午後のスタンダードの試合成績は… 3チェック。またもやチビ・ハゲ一回負け。(涙)今回の新潟県大会も、毎度のように『出るだけ』に終わってしまいました。踊りは誰からも褒めてもらえず。うちのダンス教室の先輩が、結果の出せない哀れな後輩に、ペアのラテンドレス(第212話)は良かったと言ってくれましたけれど…。
重い足取りで競技会場を去り、長野ナンバーの代車(第223話)が停めてある駐車場へと向かいました。
リーダー:「成子さん、スーツケースは?」
パートナー:「……。置いてきたわ。」
スタンダードのドレスが入っているスーツケースを、自分は競技会場に忘れてきたのでした。取りに戻る元気もなく、車の助手席にへなへなと力なく座り込むパートナー。リーダーはパートナーのスーツケースを探しに、沈黙のまま競技会場へと戻ります。無事、スーツケース発見。(出入り口に、置いたままだったそうです)そして敗走が始まりました。
「ああ、これが現実だ!」
自分達の踊りは足型を踏んでいるだけで、あまりにも幼稚すぎ。それは重々承知の上です。コーチャーからのコメントは、スタンダードは覇気がなく、チャチャチャはルンバに見えたとか。(涙)糸魚川へ向けて一目散に車を走らせつつも、お目当ての大積(おおづみ)サービスエリアのパン(第154話)を目指すリーダーとパートナーでした。
☆ ささやかな楽しみがあるから、負けても人生やってゆける。(笑)
著者名 眼科 池田成子