皆さま、さるなしというフルーツをご存知でしょうか? 私は今回の甲府へのダンス遠征まで、その存在を知りませんでした。さるなしは『幻の珍果』と呼ばれ、一説によるとサルが我を忘れて食べることから名づけられたとか。マタタビ科の植物で、日本の山にも自生していて、野生の木の実では一番美味といわれているそうです。ニュージーランドで品種改良されたものが、キウイフルーツ。キウイとの違いは、キウイよりも小さくて、表面に毛が生えていません。アメリカでは、ベビーキウイと呼ばれているそうです。日本では栽培が難しく収穫が安定しないため、商業ベースでの出荷はほとんどなく、市場では流通していないレアフルーツなのだそうですよ。
フルーツといえば、うちのリーダーの大好物です。フルーツ好きのリーダー君、朝はヨーグルトとフルーツ。お昼はお弁当を食べた後のデザートにフルーツ。晩酌の後のしめもフルーツ。フルーツがあればご機嫌です。オジさんなのに、まるで女の子のようですね。ちなみに彼はハンドクリームを持ち歩いています。これはボールルームダンスを嗜む紳士のエチケットだそうですよ。今回の山梨県大会へはカーナビ推奨エコルート、糸魚川から国道148号まわりで安曇野から高速に乗り、甲府へと向かいました。地域おこしでしょうか? トイレ休憩に寄った小谷(おたり)の道の駅で、小谷産さるなしが紹介されていました。そこで初めて知ったという訳です。収穫は9月とのこと。
「サルが我を忘れて食べるなんて、スゴすぎ!」
フルーツに目がないリーダーは、そんなクレイジーなフルーツがこの世にあったのかと、ダンスを忘れて興味津々です。
ダンス遠征では途中、諏訪サービスエリアで休憩をとりましたが、出店で世界の珍しいフルーツや木の実が販売されていました。さるなしの果実を是非見たいと願っていた矢先のことです。幸運にも、さるなしのドライフルーツを発見! 産地はアメリカ。見た目は、まるで皮をむいたキウイのミニチュアのよう。親指の頭大の大きさで、ヒスイのように神秘的な美しい緑色をしています。試食させてもらったら甘くて、キウイをギュッと濃縮したような美味。
「これ、下さい!」
チビ・ハゲ、嬉々揚々とさるなしをゲット。売り子のお姉さんの話によると、長野で国産さるなしの果実が販売されているのは、いまだかつて見たことがないそうです。フルーツ大国長野で見られないなんて、実にレアフルーツなのですね。
さて、話をダンスに。競技選手の皆さまから笑われるかもしれませんが、決勝で踊る直前にうちのリーダーに食べさせるためのスイーツを、毎回自分は用意しております。出陣の前に上杉謙信が家臣にふるまったという「かちどき飯」から学びました。桃太郎のきびだんご作戦ですね。自分達はこれを「必勝菓子」と呼んでいます。必勝菓子はリーダーの好きなアルフォートだったり、ヤマザキの豆大福や月餅だったりします。しかしこの3年間、必勝菓子を競技会場でリーダーに食べさせた実績は一度もございません。最後に決勝に入ったのは、茨城県大会。この試合で自分達はラテンB級を決めました。それからというもの毎回みごとに予選落ち。ハンドルを握り糸魚川へ敗走しているリーダーの口に、不要となった必勝菓子を押し込む次第でございます。(涙)ちなみに、今回の山梨県大会の必勝菓子は、小谷の道の駅でゲットした地元産さるなしジャム入りフィナンシェに決定です。(笑)
さて、肝心の試合結果は…。午前のラテンB級戦はみごと一次予選敗退。(涙)試合前日の夕食は縁起をかついで、甲州ビーフのメンチカツを注文しましたが、下腹が出てきた自分達、カツ(ころも)を剥がして中のメンチだけ食べたことが「勝ち」から見放された敗因でしょうか? なお午後のスタンダードC級戦はあらかじめ、予選を踊るたびに諏訪SAでゲットしたさるなしを一粒づつ、リーターに与えました。ご主人様(パートナー)からさるなしを戴き、勝ち上がりたいという邪念を捨ててサルのように我を忘れて踊るリーダー君、順調に予選を勝ち進み、予選通過! いよいよ準決勝へと進出です。
パートナー:「さあ必勝菓子(さるなしのフィナンシェ)よ。」
リーダー:「決勝で食べるんじゃなかったの?」
パートナー「今食べなきや、いつ食べるの!」
このたびのスタンダードC級戦、惜しくも決勝には届きませんでしたが、チビでルックスの悪い自分達にとって、とても不利な種目と思い込んでいたワルツ&スローで、ベスト12に入りました。これはチビ・ハゲにとって初めてのこと。昇級へとつながるポイントです。珍果『さるなし』の効能は、絶大だったのでしょうか?(笑)
☆先入観を捨てましょう!
著者名 眼科 池田成子