社交ダンス物語 219 筋肉女子

コラム

 昨今、身体をバキバキに鍛える女性が増えているそうですね。先月TVで放送されていました。2018年トレンド大予想、第5位は『筋肉女子』。女性でありながら、見事に割れた腹筋、逆三角形の背中、盛り上がったお尻。もう、細いだけじゃダメ。単なるガリガリは美しくないのだそうです。女性の筋肉美といえば、うちの病院の医局と講堂に世界のトップダンサーのカレンダー(BLACKPOOL DANCE FESTIVAL OFFICIAL CALENDAR 2018)を貼らせていただいていますが、1月・2月を飾るラテンダンサーのマリナ選手も凄い。息をのむほどの美しさです。引き締まったウエストラインに、子持ちししゃものような太腿とふくらはぎ。光輝く肌。究極の肉体美には甚だ圧倒されます。

 さて、ちまたで『筋肉女子』と呼ばれている彼女たちは、1日2時間、週5日のトレーニングを行っているそうです。それも半端ではない重量や強度のトレーニング(女性がここまで追い込むのか!というような筋トレ)を実践しているそうですよ。ちなみに自分達チビ・ハゲも毎日2時間それなりにダンスの練習をしていますが、筋肉女子に言わせれば、まるで『ラジオ体操』? 女性は男性に比べ筋肉がつきにくい体質ゆえ、多大な努力でつけた筋肉も、トレーニングを怠るとあっという間に落ちてしまいます。筋肉が脂肪に変わらぬよう、たゆまぬ努力が必要となります。(意志薄弱の自分には、到底できそうにありませんが…)筋肉女子は、食事にも気を配っているそうですよ。高タンパクで低脂肪の食事、とりのむね肉などが好まれるそうです。

 前述のように、『筋肉』は鍛えると凄いですし、使わないとみるみる衰えてしまいます。筋肉女子ではありませんが、自分はそれを体験したことがあります。30代の時に左足首を複雑骨折して、うちの病院で手術を受けたことがありました。当時は入院しながら、仕事もしていましたよ。朝は白衣に着替えて、病室から眼科外来へ車椅子で出勤。日中は『お医者さん』をして、夜は病室に戻って『患者さん』をしていました。執刀する際に、車椅子や松葉杖は使えませんし、狭い診察室においてもそれらは邪魔となります。そこで、主治医の髭の先生の目を盗んで、右足でケンケン歩きしながら手術室や眼科外来を移動していたら、数週間で右のお尻の大きさが、なんと左のお尻の倍になっていました。使わない方の大殿筋が萎縮して、使う方が鍛えられたのですね。
 
 旧来から、膝の痛みを訴えて整形外科を来院されるご高齢の女性患者さまは絶えません。荷重面の関節の軟骨が摩耗するのが原因ですが、膝が痛いからと言って脚を使わないのは悪循環。ますます筋肉が衰えて、関節の安定が悪くなるそうです。うちの病院の髭先生、膝の痛い女性患者さまへ筋力強化を推奨しています。大腿四頭筋を鍛えることで、膝のお皿が安定して関節の痛みが和らぐそうです。朝・昼・晩100回ずつ、椅子に座っての膝の曲げ伸ばしを指導するそうですよ。大腿四頭筋を鍛えるトレーニングですね。医師の指導のもと、まじめにトレーニングを継続してきた膝の痛いお婆さん、見事に太腿の筋肉は強化されていました。ああ、でも勘違い。強化されていたのは、痛くない方の足でした。髭先生、がっかりしたそうですけど(涙……笑)。


★老いも若きも、『筋肉女子』の時代がやってきた!

著者名 眼科 池田成子