2017年・後期関東甲信越競技ダンス新潟県大会において、ラテン・スタンダード共に一回負け(一次予選敗退)、自分達は悲惨な結果でした。実は踊る前の点呼をとられている時点から負けていた?
「53番、54番、56番…」
「55番、いますっ!」
踊る前から番号なし。慌ててリーダー申し出る。
嫌な予感は的中。(涙)次に開催された長野県大会でも、悪夢をみました。ラテン一回負け、スタンダードは二次予選敗退。病院エッセイを通して自分たちは『ダンス昇級』と吹聴してまいりましたが、昇級どころか降級の危機にさらされています。(涙)
『井の中の蛙大海を知らず』これは誰もが知っている、有名なことわざです。それを哀れな自分たちに当てはめてみましょう。井の中の蛙は、井の中(自分のテリトリー)においても、活躍することはままなりません。ましてや大海(全日本)へ出ようものなら、蛙は圧死してしまいます(一次予選敗退・しかも大会最下位)。中高年アマチュアとはいえ、このままではチビ・ハゲ組は競技選手として自分達の居場所がなくなってしまいます。
『居場所』といえば、富山県の大会に出場した時に応援に駆けつけてくれた母友(第132話)から、かつてこう言われたことがありました。
「成子ちゃん、間違っても今の職場(糸病)をやめて、東京で就職しようだなんて考えちゃダメよ。都会には凄腕のドクターが沢山いるんだからね。あなたが東京へ行ったところで、居場所はないかもよ。」
え” ? これを、ダンス界に置き換えてみますと…。自分達が所属する団体(JBDF)では、同じ団体組織内でも地方と都会では選手の所属級の扱いは異なります。自分の選手登録証を見ると、シニア・ラテンアメリカンにおいては関東甲信越ブロックのA級と表記されています。でも東部(主に東京・神奈川地区)ではB級。つまり、ワンランク下の扱いとなります。都会には田舎に比べて、凄腕の選手がごまんといるのは事実です。母友の言う通り、ドクターも然り? (田舎の目医者、うなだれる)
でも、プラス思考(笑)。井の中の蛙大海を知らず、されど井戸の深さを知る! 田舎の目医者は糸病という地域の一つの病院に長くとどまり、患者さまの経過を長く診させていただいております。医療界においては『10年前の常識は、今の非常識』ということもあり得ますが、あの時自分がおこなった処置・手術、そして処方してきた治療薬が、10年後、20年後といった今日に至るまで患者さまに悪させず、安全かつ適切であったかどうかを知ることができます。患者さまの経過を長く診させていただくこと、それは医師にとってより深い知識を得ることにつながるんですね。
ここに、患者さまがいらっしゃる。すなわち、今いるところが居場所です。糸病は陸の孤島と呼ばれている糸魚川の、地域にひとつしかない総合病院です。ここには地下鉄はありませんし、バスの本数も多くありません。ご高齢の患者さまにとって足のない不便な田舎だからこそ、最善の医療が求められます。田舎人よ、大志を抱け! 田舎の医者は都会のドクターには負けてはいられません。読者の皆さま、糸魚川総合病院をこれからも応援して下さいね。
★ところで、ダンスはどうなった?
著者名 眼科 池田成子