社交ダンス物語 207 発達障害から学ぶ ダンス篇

コラム

 今、大人の発達障害が増えているそうですね。TVで放送されていました。その典型的な一例に学生時代は優秀、国立大学を卒業、でも会議が苦手。
「え” それって、アタシのこと?!」
自分の場合、病院の会議で長時間座っていると、お尻と背中がムズムズしてまいります。議題について意見が交わされている中、椅子の下でモゾモゾとステップを踏んだり、お夕食に何を食べようかと考え始めます。しまいに脳波はアルファ波からガンマ波へ…。そんな筆者、医局長が不在の時は当院の医局会の議長を仰せつかります。はて、何をしゃべったら良いの? 高い席から、隣に座っている院長先生の小声(助け舟)を増幅させていただく次第でございます。(涙…笑)

 ここで、大人の発達障害は、生まれつきの能力(知能・記憶力・分析力)に偏りがあることが原因といわれます。能力の偏りといえば、大学病院に勤務していた頃、自分がお仕えしていた初代教授もそうなの? 教授は研究者として偉大な業績あり。しかも人徳があって、多くの患者さまや医局員から慕われ、尊敬されていました。ただ、部下の顔と名前が一致しないのです。A先生をB君、B先生をA君と呼んでいました。その点、化粧品売り場の店員さんはスゴい!一度接客したら、二度目からは客の名前をしっかり覚えていますので。そんな部下たちの中には、ボス(教授)の名前を漢字で書くことができない人も少なからず。(自分も怪しい? 書字表出障害)

 外国人留学生は、漢字がとても苦手。日本人だってそう。人は誰でも少なからず、発達障害の特性をもっているといわれます。自分の場合、40才からダンスを習ってダンス歴10年になりますが、未だに立つことができません。(実はダンス発達障害だった)そんな自分が恥ずかしくて、嫌になります。でも、ダンス歴20年でも要介護4(リードの疎通困難な状態)の人もいるのだそうですよ。お教室でダンスを習って自分と同じ悩みをお持ちの中高年の方々へ。メダルテストで合格できなくてショックで寝込んだり、できないことへの恥ずかしさからダンスをやめないで下さいね。うちのリーダーは、メダルテストを卒業するまでに8回落ちたそうです。(競技選手なら、あり得へんこと?)

 最後に、筆者からメッセージ。前段のごとく、誰でも苦手なことはありますし、失敗もします。そこで私たちは苦手なことを補うことが、重要となってまいります。その対策の一つに『笑顔』があります。糸魚川総合病院の接遇目標には『いつも笑顔』が掲げられています。笑顔はコンプレックスを取り除き、足りないところを補ってくれる効果があります。糸病眼科の池田は知力が足りない分、体力でカバーしております。最後の一人の患者さまの診察を終えるまで、笑顔を絶やさぬよう努めています。部下の名を間違えて呼んでいた教授先生も、笑顔だったから許された? 競技ダンスでは勝ち上がりたいがゆえに、アマチュアはコワい顔をして踊りがち。でも、「踊らせていただいて、ありがとうございます」という感謝の気持ちで踊ったら、邪念がなくなり笑顔になれて、傍からは良い踊りに見えるかも。(笑顔は七難隠す?)
「下手だ、チビ・ハゲ! もう一回見せろ!」
お客さまからそう声援していただけたら、幸せです。(笑)


★できないからこそ、一生勉強。 

著者名 眼科 池田成子