社交ダンス物語 204 さらなる啓蒙へ

コラム

 夏といえば、冷えたワインがおいしい季節です。ワイン好きの私は、ピーロートのワインを愛飲しています。定期的にワイン・ラブという通信販売カタログが送られてきますが、キャッチフレーズが素敵ですね。そしてピーロート・ブルーの美しいボトルにも惹き付けられます。セットサービス価格があるのが嬉しい。このたび『上等白ワイン5カ国セット』を注文いたしました。キャッチフレーズは、『紳士・淑女が嗜む上等な辛口白』(笑)

 ここで、紳士・淑女のたしなみといえば、ボールルームダンスがあります。ボールルームダンス(社交ダンス)は、ルイ王朝時代からの宮廷ダンスがはじまりとされています。ヨーロッパにおいては、社交ダンスは『教養』とされており、ストックホルムで開催されるノーベル授賞式の後の舞踏会では、受賞者は夫婦でワルツを踊るのが恒例だそうです。我が国においても、天皇皇后両陛下は都内のチャリティー舞踏会に出席なさり、公の場で優雅にワルツやタンゴをご披露なさりました。
 
 さて先月、とあるショッピングセンターでのことです。そこにはボールルームダンスのポスターが貼られていました。正装をした男女がホールドを組んで、スタンダードを踊っている画像です。
「競技会の案内かしら…」
ワクワクしながらポスターに近づいて見ると、それは競技会の案内でもダンスパーティーの広告でもありません。エイズ予防財団によるHIV検査の啓蒙ポスターでした。さすが、ボールルームダンスは凄い! ダンスをする人、しない人を問わず、公の場で人々の関心を惹き付ける効果は絶大なのですから。

 ここで、社交ダンスとはスポーツであり、芸術であり、教養です。(第149話)かつてはジルバとブルースをかじったら、女をモノにできた時代があったと聞きます。それは日本でダンスが風営法の管理下に置かれ、ダンスホールが大勢の若者客で溢れていたという『昭和』のお話。『平成』において、あっち目的で社交ダンスをするほど効率の悪いものはないだろうと、うちのリーダーは申しております。(ダンスで女をモノにしたければ、男は少なくとも全日本レベルの実力が必要?)

 ノーベル賞受賞を目指される方へ。研究・業績と並行して、社交ダンスをお習いになることを推奨いたします。また、飛鳥でもよし、クイーンエリザベス号でもよし、いつの日か豪華客船の旅を思い描いていらっしゃる方にも、社交ダンスを是非ともお勧めいたします。
「Shall we dance?」
船上にて笑顔で誘われて、「踊れません」では悲しいではありませんか。現代において、社交ダンスをたしなむ人たちはみな、自分達を『紳士・淑女』と思っております。(笑)


★レッツ ダンス!

著者名 眼科 池田成子