社交ダンス物語 197 体幹

コラム

「ボーンといくような、ワルツのスウィングが見られない。」
 レッスンではコーチャーからそう言われます。ルンバはふわふわ浮いていて、ねばりや力強さが見られないとのこと。それは体幹が弱いからと指摘されました。かつては柔道で体を鍛えたというリーダー君(第176話)、攻撃してくる自分よりも大きな相手(100キロ)を投げ飛ばしていたそうです。そんな自分が『ダンス』では体幹が弱いだなんて、夢にも思っていなかったそうです。

 競技会で上級選手の踊りをみて、ダイナミックで美しいスウィングに、ほれぼれいたします。見よう見まねで、うわべだけ真似てみてもダメ。答えは『体幹』にあったのでした。体幹を鍛えると、運動中の体勢が安定し、その安定がより強いパワーを発揮させます。ところで、体幹とは何? 調べてみました。体幹(コア)には2つの意味があるそうです。広い意味では胴体のこと。厳密には腹筋の一番深部にある腹横筋、横隔膜、背骨に一番近い多裂筋、骨盤の最下部で臓器を支える骨盤底筋群に囲まれた、腹腔壁を構成する身体の中心部分を指すそうです。これらの筋肉を強化して、「柔軟性のある」「強い」「バランスのとれた」体幹をつくることを体幹トレーニングといいます。アスリートにとって、体幹を鍛えることはとても重要。アスリートでなくとも、ダイエットや腰痛、ケガの予防に体幹を鍛えることはとても効果的といわれます。

 ここで、体幹部の筋肉は私たちの目には見えません。具体的な動きもよくわかりません。ダンスのレッスンを受けている時、「横隔膜を広げて!」とコーチャーは叫びます。どうやって、広げるの? とりあえず、内蔵を引き上げ、それを横へ広げるイメージ。体幹トレーニングには個々のレベルに応じて、段階があるそうです。自分達は只今、ダンベル(リーダーは2キロ、パートナーは1キロ)を両手に持ち、その手をまっすぐに下へ降ろして、ルンバウォークをしています。自分の場合、ただでさえルンバウォークはぐらつくのに、ダンベル持って胸を引き上げたら、つんのめって前足が出ません。(涙)でも、やっているうちにできるものなのですね。今やダンベルなしでのルンバウォークは、スカスカして違和感さえ感じます。まるでノーパンにスカートをはいて歩いている感じ。(笑)

 春爛漫、お花見の季節です。糸魚川で桜の名所といえば美山公園があります。糸魚川から少し足をのばせば、日本三大夜桜と讃えられる新潟県上越市の高田公園があります。高田の夜桜は幻想的な光景ですよ。約4000本の咲き誇るソメイヨシノが3000個のぼんぼりでライトアップされます。日本全国から集まった大勢の方々、そして外国人観光客をも魅了しています。
「まあ、きれい!」
私たちは上を見上げて、桜の花を褒めますよね。でも、ここで。毎年きれいな花を沢山咲かせて私たちを喜ばせてくれているのは、雨風や豪雪にも耐え、樹齢を重ねてきた幹(体幹)、そして目には見えない根っこの部分がしっかりしているからなのですよね。美しさ、それは『体幹』あってこそ。
「お見事!」
お花見では、根っこや幹も褒めてあげましょう!


★美しい踊り、それは体幹が命!(笑)

著者名 眼科 池田成子