社交ダンス物語 196 うまいもの対決

コラム

 富山でおいしいものといえば、氷見の寒ブリ、かまぼこ、八丁米に水があります。黒部の名水がかつて、成田国際空港の出発フロア最後の売店に、唯一ミネラルウォーターとして置かれていました。それは富山県民にとって誇らしいこと。スイーツなら、『薄氷』と『月世界』。いずれも富山の伝統名菓、お抹茶にもコーヒーにも合う上品な干菓子です。富山は日本酒も美味しいです。米と水が美味しい所では、おいしいお酒がつくれますので。現在はお隣の新潟県に住んでおりますが、新潟といえば、やはりお米とお酒が有名です。『八海山』、辛口でありながらまろやかな余韻を残す美味しいお酒ですよね。富山の銘酒『立山』も、うまい酒対決では負けてはおりません。(笑)
 
 うまいもの対決と言って、笑ってばかりはいられません。先月に受けた人間ドックの中間報告表が送られてきました。真っ先に目がゆくのは、γ-GTPの値とメタボリックシンドロームの判定項目。只今すくすくと横に成長期、前年度に比べお腹周りが4センチ増えて、リーダーから『ムーミン』と呼ばれておりますので。(第193話)自分の場合、メタボリックシンドロームの判定項目のチエック数は2、非該当でした。ダンスのおかげでしょうか? ほっ。(笑)

 話を、おいしいものに戻しましょう。富山のお隣の県、しかも同じ日本海側でありながら、糸魚川のスーパーの鮮魚売り場には、氷見の寒ブリは見られません。ブランド魚は築地へ行ってしまうのでしょうか? スーパーに置いてあるのは、九州産の養殖ブリ。自分は富山県出身ですので、お魚には舌が肥えていると思います。そこで、『氷見の寒ブリ』と『宮崎産養殖ブリ』のお刺身を対決させてみることにしました。寒ブリは富山のマーケットでゲット。天然ブリは脂がのっていながらも、適度に身が締まって深みのある赤。他方、養殖はつるりと白い。同じブリでも見た目が異なります。人で言うなら、人種の違いのよう。そしてお味は… 判定不可。ドクターとして敢えて判定するなら、冬の日本海でもまれた天然ブリは「正常値」、南国の養殖ブリは「メタボ」。(フォアグラと同じ、メタボはウマい!)

 おいしいものを、身近なもので対決させてみるのは楽しいですよね。お弁当の定番、あらびきポークウインナーは、新潟のスーパー『原信』vs 富山の『アルビス』。コンビニのコーンマヨパンなら、ローソン vs セブン。同じレモンケーキなら、北陸新幹線車内販売 vs 糸病の売店。うちのリーダーはコーンマヨパンが大好きです(第127話)。セブンの方はパンがふかふか、マヨリッチでしっとりしたコーンがぎっしり詰まっていて高級感あり。ローソンの方は焼きチーズのパンチが効いていて、歯ごたえあり。自分達はコンペにはローソンの方をチョイスします。理由はコーンとパンとの密着度。トッピングのコーンがポロリとこぼれて、大切な燕尾服やドレスを汚してはいけません。ローソンのコーンマヨパンは、コーンがチーズとマヨでがっちりガードされていて、逆さにして振ってもこぼれませんので。(笑)

 ちなみに、知る人ぞ知る。銀座『エスペロ』といえば、有名なスペイン料理店です。国際パエジャコンクールに毎年連続で参加し、優勝をはじめ各賞を受賞しています。ボールルームダンスでいえば、本場英国のブラックプールで日本人選手が優勝するようなもの。競技会で東京へ遠征した時は、試合の後にエスペロへ行くのが楽しみです。さすが世界一と讃えられるパエリア! おこげも美味しい。舌がダンスします。そこで、対決。エスペロのパエリア vs 筆者(パートナー)のつくるパエリア、どちらに軍配が上がる? ジャッジは、うちのリーダーにしてもらいましょう。判定は……。えっ? 別物ですって?! そんなに萎縮しなくても…。彼に言わせると、比べてはいけませんとのこと。そう言われれば、『奥様の手料理』vs『おふくろの味』、こちらも『別物』でしたね。(笑)
 

著者名 眼科 池田成子