競技用ドレスは、勝つための大きなアイテム。競技ダンスなんて見たこともないという方へ、紅白歌合戦をご想像下さい。「今年はどんな衣装で出てくるの?」そう思うと、ワクワクしますよね。衣装、それは審査員やお客さまを喜ばせ、心をつかむ大きな武器(笑)。競技用ラテンドレスを新調するため、チビ・ハゲはいつもお世話になっているドレス工房(第81話)へと向かう。ドレス工房のオーナーさん、笑顔で迎えてくれました。
パートナー:「自分達は背が低いです。顔はでかいです。しかもリーダーは胴長で、手も足も短い。恵まれない体型です。長身・細身の選手と比べて見劣りしない、タテに長く見せるドレスをお願いします!」
オーナー:「ドレスには限界があります。」
ピシャリと返答されました。『馬子にも衣装』という諺がありますが、馬子にも限度あり?(涙)
前回の選手権で自分達が踊っている画像を、ドレス工房のオーナーに見てもらいました。
オーナー:「黒はおすすめできません。(ルックスの良い)他の選手に対抗して黒のラテンドレスにしたら、(6頭身のチビは)ますます目立たなくなってしまいます。自分らしさを出すドレスを作りましょう。」
ところで、自分らしさとは何? 傍から見て、自分達はどう見られているのでしょうか? ボールルームダンスの競技選手として、気になるところ。コーチャーの話によると、自分たちチビ・ハゲは『爽やか』なイメージとのこと。試合では二人ともあえぎながら、がむしゃらに踊っているだけですけれど。よってペアの競技用ラテンドレスを、爽やか路線でイメージしてみました。ミントグリーン? 水色? しかし、色もデザインも具体的に自分たちでは決められません。
リーダー:「成子さん、今までお任せしたペアのドレスはどれも好評だったから、今回もそうしよう。」
そこで、専門家に全てお任せることに…。
オーナー:「念のため、サイズを測らせて下さい。」
そして採寸が始まりました。
リーダーは前回と同じサイズ。パートナーは…
オーナー:「バストは前回と同じ。ウエストは4センチ増えていました。ヒップは2センチ増えています。」
パートナー:「ランチを食べたばかりですので… 」
リーダー:「成子さん、おそば一人前食べただけで、ムーミンのようなお腹になるの?」
帰りの車の中で、リーダーはつぶやいています。
リーダー:「あかん… 競技選手は、デブになったらあかん…」
パートナー:「オバさんだもの、仕方ないわ。代謝も落ちてくるし。」
リーダー:「成子さん、晩酌をやめれば減量できる。」
パートナー:「そんなことしたら、死んでしまうわ!」
リーダー:「お酒をやめても死なないよ。」
自分の場合、仕事を終えてフラフラになりながらダンスの練習をした後のご褒美は『お酒』。大好物のナッツとじゃがりこをほおばりながら…。しめはチョコで幸せ気分。「ああ、生きていてよかった。」と。それでは太る? ちなみにうちのリーダーは、競技ダンスを始めて体重が20キロ減ったそうです。
リーダー:「成子さん、このままでは新大生(新潟大学ダンス部)とは戦えない。」
パートナー:「若い子と対戦するために、オバさんは『あしたのジョー』の『力石』になるの?!」(涙)
クリスマス・大晦日・お正月を謳歌いたしました。そして、おしるこの美味しい季節です。競技会のオフシーズンでもあります。筆者と同じ、シニア競技選手の皆さまへ。ドラえもんやムーミンのような体型になって、「競技用ドレスが、入らないっ!」と、春期競技会の試合当日に大慌てなさらぬよう、くれぐれもお気をつけくださいませ。(笑)
★とは申し上げたものの、ムーミンやドラえもんのプリプリっとした体型、超いとおしいですよね。さて、春の競技会に向けて、どんなドレスが仕上がるでしょうか?(笑)
著者名 眼科 池田成子