自分の苦手なものは、『パソコン』と『英会話』と『朝ごはん』(第37話)。医学論文は英文でそれなりに書けても、お恥ずかしながら英会話はダメ(幼稚園レベル?)。外国人がこちらに向かって近づいてくると、反射的に踵を返して逃げ出す習性があります。日本インターナショナルダンス選手権大会の際に利用した都内のホテルにて、パブリックスペースには外国人選手やジャッジの先生がうようよ。エレベーターに乗ると、そこにもまた外国人が…。(ああ、逃げられない!)
「After you.(お先にどうぞ)」
ダンスと同じ、エレベーターのドアが開くやいなやフリーアームを使って満面の作り笑顔。
「Thank you.」
外人さん、嬉しそうにお礼を言ってくれます。エレベーターを最後に降りて、筆者あたふたと逃げ出す!(笑)
前述のごとく、私たちのまわりには『ピンチ』に直面することがいっぱい。別の事例をご呈示いたします。目まぐるしい眼科外来、初診患者さまにむかって。
「お変わりありませんか?」
医師は再診患者さまに使う言葉を申し上げてしまいました。
患者さま、ぎょっとなさった表情。
「はじめてです。」
眼科医、ピンチ! でも、そこで怯まず。笑顔で即答。
「あら、どこかでお見かけしたような…。ほら、糸魚川の原信!(地元のスーパー)」
患者さまに、リラックス効果はあり?
上述のごとく、修羅場こそ、とっさの対応はとても重要。修羅場といえば、競技ダンスのフロアはまさにそのもの。そこにおいては、『とっさの表現』が肝心なのだとか。ルンバのカップルレッスンを受けていた時のこと。女子がのけ反り片足を挙げて(見せ場)、その後上体を起こして足を着地させたその瞬間、リーダーは音を外してフリーズしてしまいました。
「アホっ!」
パートナーは、心の中で叫んでいます。音を外すことは、ボールルームダンスの競技会ではあってはならないこと。リーダー・パートナー共に、くっついたまま棒立ち状態(涙)。そんな自分達に、コーチャーは指導。当然のごとく音を外したリーダー(男子)が叱られると思いきや、注意されたのはパートナー(女子)の方。
「あなたが好きで、たまらない。」
リーダーの胸に頬や手を寄せて愛を演じ、(出来の悪い)リーダーがリセットされるまで時間稼ぎをしなさいと。『演じる』ことは、女のお仕事? ルンバは男と女の愛の踊りでした。(笑)
★ピンチをチャンスに変えるって、凄い!
著者名 眼科 池田成子