「絶対忘れないなら100点、半分忘れるなら50点。○○さんは、何点ですか?」
これは緑内障患者さまに、眼科医がさせていただく質問です。感の良い方なら、おわかりですよね。そう、医師が処方した点眼薬を、患者さまが毎日忘れずにさしてくださっているかのチェックです。緑内障の目薬は、毎日決まった時間に点眼することで効能を発揮いたしますので。本日測定させていただいた眼圧は高め。目の前の患者さま、本当に正しく目薬をさしてくださっていたのでしょうか? すると患者さま、正直に答えてくださいます。
「100点です。」
… ならば、目薬を追加するか、もしくは変更? …
「70点かな?」
… それを聞いて眼科医、ちょっとガッカリ …
「40点!」
… そうお答えになったら、眼科医ナミダ …
さて、料理好きな筆者、その日作った料理を自己採点することがあります。「目玉焼き70点」「チャーハン30点」「エビチリ0点」といった具合に。『料理は化学』という金言がありますように、焼く、炒める、揚げるなど、シンプルな調理法こそ難しいと実感いたします。自分が今までに食べたお料理の中で最高に美味といえば、25年前に横浜の中華街で食べた周富徳さんのお店のエビマヨでしょうか。かつては『料理の鉄人』というTV番組が放送されましたよね。周さんのお店のエビマヨは、プリプリ、ふわふわ、そしてお口の中でとろける食感が同時に堪能できるのですから凄い。エビも見事な肉厚。一口食べたら舌がダンスしますよ!さすが中華の鉄人。あのエビマヨの『ふわトロぷりん』の食感を、どうしたら家庭で再現できるか幾度も試みましたが、未だに実現しません。(周さんが食べてくれたら、何点もらえる?)ちなみにエビは、糸魚川のスーパーで仕入れた100gあたり178円のエクアドル産バナメイえび(解凍・養殖)を使用。(それはエビではないと、周さんから言われそう。)
ここで、シンプルな調理法こそ難しいのと同じ、社交ダンスも見栄えのするバリエーションよりもベーシックは難しいですよね。アラは誤摩化せませんので。夏は競技のオフシーズンなので、ダンスパーティーに参加させていただくことがあります。アマチュアラテンB級、シニアA級のリーダー君、パーティーでスタンダードの曲がかかると、ちーんと大人しくしていますが、ラテンの曲になると水を得た魚のように踊り出します(本人はスターになった気分?)。ちなみに、パーティーで殿方からルンバやチャチャチャをお誘いされた場合、お相手が自称『初心者』でも、よほどマニアックな足型を仕掛けられない限り概ね次のステップは予測できますが、これが目をつぶっていたらどうでしょう。コーチャーの話によると、リードさえしっかり出来れば、女子はブラインドでもラテンは踊れるとか。そこで目をつぶって、リーダーとルンバのベーシックを踊ってみました。視覚なし、先入観なし、命綱はつながっている片手だけ。女子はルンバウォークの前進と後退をするのみ。ジヤッジは…。コーチャーのリードを100点としたら、うちのリーダーは2点。(涙)
パートナーから2点をつけられたリーダー君、秋の競技会に向けて、只今ダンス修行中(笑)。
「君の料理はサイコーだよ。」
「あなたと踊って、キモチイイ!」
そう褒めてもらいたいもの。でも、現実はキビシいですよね。
「うちのカミさんの料理はマズい!」
「そんなリードじゃ伝わらない!」
本音はそうであっても、面と向かって本人に言わない方が身のためですよ。敵はひとりでも少ない方が良いですので(笑)。マズかろうが下手だろうが、あなたのために料理を作ってくださった人、踊ってくださったお相手への感謝の気持は大切にしましょうね。そして時には厳しく自己採点してみるのも良いかもしれません。
「目医者さんとして、先生は何点ですか?」
患者さまからそう問われたら、糸病眼科の池田、ムンクの叫び!! 医師が患者さまから採点されるほど、オソロシイものはありませんので。
★糸病コラム『社交ダンス物語』を読んでいただき、ありがとうございます。仕事もダンスも身を引き締めて、前進したいと願っております。陸の孤島こと糸魚川総合病院を、これからもよろしくお願いいたします!(笑)
著者名 眼科 池田成子