子供のおませな言葉に、大人は「ヤラレタ」と思うことがありますよね。妹の誕生日を控えて…。
姪:「なりこおばちゃん、お母さんのお誕生日に何を贈るの?」
伯母:「何を贈ろうかしら? 伯母ちゃんは忙しくて、お母さんへのプレゼントをまだ買っていないの。」
姪:「ううん、物じゃなくて言葉よ。」
あっぱれ! 姪っ子からそう言われ、なりこおばちゃん降参いたしました。(苦笑)
『言葉』は相手に自分の心を伝える、いわば最高の贈りもの。「ありがとう」「おはよう」「気をつけて」「いってらっしゃい」「お帰りなさい」など、美しい日本語が沢山あります。その反面、言葉は相手を傷つけるコワい凶器にもなりかねません。
「またダメだったの?」
「チビは努力しても報われないんだわ!」
「カツラにしていたら、もうワンチェックもらえたかも。」
競技会場ではリーダーが『牛』で、パートナーは『マタドール』? ホワイトボードに貼り出された結果(次のラウンドに進出できる選手の背番号が表示されている)を見てトボトボ戻ってきたリーダーに、フィナーレに相応しき『とどめ』を刺している自分に反省しております。(ゴメンナサイ)
京都で開催された全日本シニア10ダンス選手権において(第177話)、フルチェックを110として、うちのリーダーは5チェックで一次予選敗退。最下位でした。テストでいえば、バリバリの赤点。
「5チェックで、ダメでした。」
そう報告するリーダーに、同試合に出場された新潟のK選手が、あなた達にもう一回踊ってもらいたいと思ってくれたジャッジが5人いたのですよと、おっしゃって下さいました。なんてポジティブでステキな言葉なのでしょう! ボールルームダンスの上級選手はダンスが出来るだけでなく、品格があります。チビ・ハゲ感激!(ちなみにK選手は109チェック、凄すぎ!)
さて、先般小山市で開催された、春期関東甲信越シニア・Gシニア競技ダンス栃木県大会にて。自分達はシニアラテンA級にエントリーしました。チビ・ハゲにとって、背水の陣。予選を突破しなければ、持ちクラスは維持できず降級してしまいます。毎回のようにボードに貼り出された結果を見て、肩を落として戻ってくるリーダーです。予選突破しますようにと祈る気持ちに先んじて、ダメだった時のリーダーへ贈る言葉を自分は考えていました。メンタルな部分でリーダーをサポートするのも、パートナーの役割の一つですので。予選を踊り終えて待つこと暫し、競技結果が貼り出された様子。リーダー達は一斉にボードの前に集まっています。長身のリーダー達に囲まれて、チビは結果を見るのも大変な様子(つま先立ちして踏ん張り、プルプル震えている)。ようやくうちのリーダーが戻ってきました。
リーダー:「成子さん、A級を維持した。準決勝進出だ!」
パートナー:「番号を見間違えてない?」
リーダー:「……。」
『桃源郷の境地』から『ムンクの叫び』へと顔色が一変し、クルリと背中をパートナーに見せて背番号を確認してもらうや否や、再び結果が貼り出されているボードへとあたふた走り出すリーダーでした。
♪愛~するあなたへ贈る言葉:おめでとう!(笑)
著者名 眼科 池田成子