社交ダンス物語 175 すべては結果にあり?

コラム

 3月21日に開催された関東甲信越競技ダンス栃木県大会ならびに4月3日開催シニア・グランドシニア新潟県大会において、自分達は悲惨な結果でした。(涙)競技選手にとって、結果が出せないほど辛いものはありません。この『社交ダンス物語』は、糸魚川総合病院を全国にアピールする目的で、Y副院長の推薦のもと、病院のホームページに2008年4月から連載で掲載させていただいております。練習場の確保は、とても重大な問題です。ありがたいことに糸病のご厚意で、『病院の講堂』という無料で貸し切りのダンス練習場を、自分達は提供していただきました。そこに設置されているマタニティビクスのミラーや音響装置も大活用。病院のサポートのおかげで、当時スタンダードは持ちクラスがF級だったリーダーは、多忙なパートナーを相手に効率良くダンスの練習をすることができ、C級にまで昇級させていただきました。自分達にとって、糸病サマサマ! リーダー・パートナーともに、糸魚川総合病院には深謝しております。

 しかし、ここ何年もの間、スタンダードはC級止まりです。「現状維持は後退である」という戒めのお言葉を、競技を引退されたA級の先輩からいただきましたが(第22話)、自分達は結果を出せずに年をとる一方で頭を抱えています。今のところ、病院はこんな自分達を温かい目で見守ってくれていますが、本来なら結果が出せなくなった時点で契約解除?
「来ていただかなくて、結構です。」
哀れなうちのリーダーは、病院からやんわりお断りされても、何ら不思議はありません。(涙) 読者の皆さまから笑われるかもしれませんが、糸病の講堂をダンスの練習に使わせてもらえなくなることは、スポンサー付きのトップアマチュアが成績が振るわず追い込まれる状況と同じくらい、自分達にとって由々しき問題です。病院のホームページのコラムを担当させていただいている自分は、うちのリーダーが試合で負ける度に、『一遠征・一珍味』(第15話)や『敗走日記』(第154話・第161話)などといった、負けて笑える数々のエッセイを連載させて戴きましたが、こんなにも負け続きでは、糸病の『負』のイメージにつながりかねません。もはや笑えなくなってしまいました。

 力不足のため、日本全国に糸魚川総合病院を『ダンス』で宣伝させていただけないのが残念ですが、地域の中核病院である当院は本当に素晴らしい病院です。『ダンス以外』なら、うんと自慢できるんですよ。まず、糸病の女性職員は、美人ぞろいです。さすが、新潟は美人の宝庫。眼科外来や手術室、病棟では、『綺麗どころ』を侍らせて仕事が出来るので、マハラジャ気分になれます。もし、自分が男だったら、サイコーでしょう(笑)。それから、うちの病院は、院長、副院長、事務長をはじめとする上司にとても恵まれています。当院で一番礼儀正しい職員といえば、何と言っても院長先生でしょう。「仕事が大変でも頑張れる!」そう思わせてくれる上司がいるって、「ワンダフル!」と思いませんか? そして、うちの病院に通って下さる患者さまは、世知辛い世の中にありえないほど素朴で純粋です。医師の記入漏れで、手術同意書の病名や術式が空欄のままであっても、患者さまは同意書にご自分のお名前を書いて印鑑を押し、深々と頭を下げて差し出して下さいます。そんな時、執刀医は心を打たれ、目の前の患者さまのために死力を尽くさねばと思うのであります。

 その他にも、当院には素晴らしいこと、自慢したいことが沢山あります。毎週火曜の早朝には、すべての科のドクターが集まり、『朝の勉強会』が開かれています。ちなみに、ダンス遠征(栃木県大会)の翌朝は、眼科が持ち回りだったので早起きするのが大変でした(帰宅は真夜中)。また、インターナショナルを目指して、ドクターを対象とした『英会話教室』が週に2回開かれていますし(第43話)、年に数回、海外から大学教授をお招きして研修医を対象としたケースカンファレンスも行われています。周りにはスタバやミスドもない田舎の病院とはいえ、若きドクター達にとって当院は魅力あること間違いなし。そう、ダンスは教養です(第149話)。競技が一段落したら、より格調高き病院づくりを目指して、病院職員を対象とした『社交ダンス教室』を開くことを密かに計画しております。(笑) ところで、勝てなくてどん底に落ちているリーダー君、ここが分かれ道です。あきらめるか、踏ん張れるか…。


★夢を本気で信じよう。

著者名 眼科 池田成子