社交ダンス物語 165 似て非なるもの

コラム

 世の中、似て非なるものは沢山あります。そうめんとひやむぎ、カニとカニかま、ハゲとひたいの広い人(自分は全く笑えません)。

 似て非なるといえば、筆者が医学生だった時のお話。北海道出身の子が入試に合格し、富山県(本州)へ引っ越してまいりました。その子はアパートのお部屋で虫を見つけました。
「まあ、大きなコオロギ! しかもこの季節に。」
彼女は昆虫用飼育ケースに虫を飼い、毎日餌を与えました。しかし虫達は一向に鳴く気配はありません。それもそのはず、彼女が飼っていたのはコオロギではなくゴキブリでしたので。

 さて、社交ダンスにおいても、似て非なるステップがあります。「スポット・ターン」と「スイッチ・ターン」、「カール」と「アンダーアーム・ターン・トゥ・レフト」、「アレマーナ」と「アンダーアーム・ターン・トゥ・ライト」、「スローアウェイ・オーバースウェイ」と「ただのオーバースウェイ」など。うちのリーダーいわく、パーティーでオーバースウェイを仕掛けたつもりでも、ほとんどのご婦人は見事、スローアウェイのピクチャーポーズをなさっていらっしゃるとか。(彼のリードが悪かった?)

 じきに華やかなクリスマス・ダンスパーティーのシーズンがやってまいります。ダンス愛好家の皆さまも、本質は競技選手と同じ?「人より綺麗に踊りたい!」 そう願って『ハレの日』のために切磋琢磨していらっしゃることと思われます。そこで、チビ・ハゲカップルからのメッセージ。パーティーでは似て非なるものにご用心。そのステップ、ちょっと待って! ちがいの分かる女こそ美しい。(笑)


★「リードが伝わらない」そう言われたら、それまでですけれど…(リーダー談)

著者名 眼科 池田成子