皆さま、お車の調子はいかがですか? 私の愛車は青のヴィッツRS(マニュアル車)、13年選手です。以前からワイパーの動きはぎこちないと思っておりましたが、ここのところ途中で止まるなど挙動不審となりました。ボンネットは塗装が禿げたため移植手術を1回受けております。前回の車検では、車のお医者さんからドアの取っ手を強く引っ張らぬよう指示されました。取っ手の部分がもろくなっており、ポロリと取れる可能性があるとのことです。愛車といえど、使えなくなったらおしまいですよね。買い替え時と心を決め、次なる車をネットで検索しているところです。ちなみに前の愛車は、高速道路を走行中、マフラーから煙を吹き出し大往生いたしました。
人体も車と同じ。長く使えば、歪みが生じてまいります。うちのリーダー君、体のあちこちが痛くなり、お医者さんに診てもらったら第4腰椎すべり症に右の五十肩、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)とトリプルで診断されたそうです。痛い時は、むやみに動かすと悪化します。病院の講堂で毎晩ダンスの練習をしていましたが、しばらくダンスはお休みねと、私は無意識のうちにネットの旅行サイトを開いていました。連休はどこへ行こうかしら…そう思っていた矢先のこと。いつもの練習時間に彼は姿を現しました。コルセットにシップで完全武装しています。パートナーの心の内を知ったリーダー君、「けしからん」とばかりに無言のままコワい顔をしています。冷たいパートナーで、ごめんなさい。でも、使えないからといって車のように、次を探してはおりません!
ダンスの練習を一日でも欠かすことに、真面目なリーダーは罪悪感を覚えるのでしょう。(ちなみに不謹慎なパートナーは、早くお酒が飲めてラッキーと思えますけど。)組んで練習を始めました。彼はルンバを踊っているつもり。でも、腰は痛そう。肩も腕も上がりません。パートナーに言わせると、ただそこで足踏みをしているだけ。(目でリードしている?)主治医の先生からは、1)重いものを持ってはいけません。2)痛い手を上げてはいけません。3)痛い手を上げる時は、痛くない手を添えて上げてください。そう指導されたそうです。言いつけをちゃんと守らなければ、痛み止めの注射を打つことになりますよとお医者さんから釘を刺されたとか。やはりダンスは、当分無理なのでしょうか?
大会を2週間後に控えています。このままでは愛車と同じ、うちのリーダーは使いものになりません。そこで当院整形外科のY先生にSOS。Y先生は日本体育協会公認のスポーツドクターであり、スポーツ選手の慢性疼痛や外傷の治療を専門としています。趣味はサックス演奏。ダンスパーティーでその腕前をご披露なさったこともあるとか。ダンスに理解を示してくれています。そこで、うちのリーダー同様に試合を目前にして、痛みと戦っていらっしゃる競技ダンサーの皆さまのために、スポーツドクター推奨痛みへの奥義をここに教示させていただきます。
その1、試合前日までは、無理をしないでできる範囲でダンスをする。
ただしこの時、痛み止めの薬を飲んではいけません。
ヴォーミングアップ、ストレッチ、アイシングで体を整える。
その2、試合当日、痛み止めの薬(ロキソニンなど)をガツンと飲む。
試合ではマックスを出して踊る。
Y先生いわく、その続きがあるのだそうです。
その3、試合が終わったら、うちの病院に入院していただく。
痛みを緩和する優秀な整形外科医が待機しております。以上。
★痛みとの戦いは、スポーツ選手の宿業?
著者名 眼科 池田成子