フィギュアスケートの世界選手権が、先月TVで放映されましたよね。素晴らしい演技に、日本中の観衆は沸き立ち、感動したことでしょう。『みせる』ということは、こういうことだったのか!と、身が震えんばかりに圧巻させられました。同じ競技選手でも、世界選手権のフィギュアスケートと、田舎のボールルームダンスとでは、月とすっぽん。そんな筆者ですが、彼ら彼女らのプレステージに至るまでの道のりは、想像を遥かに越える厳しい試練であったと類推することはできます。心の回復力、失敗しても大観衆を惹き付ける見事な演技に、拍手を贈る手は止まりませんでした。
ミスなく滑りきるのがベスト、次のジャンプで失敗したらどうしようと一流選手こそ国民の期待が大きく失敗が許されない局面、より重圧なプレッシャーをかけられるのではないでしょうか。競技選手として底辺にいる筆者ですら、見せ場(スピンや足あげ)で失敗したらどうしようと、ジャッジやお客さまの面前ではプレッシャーを感じます。そのため本番では硬くなってしまい、練習通りには踊れません。世界選手権で羽生結弦選手がスピンで転倒し、その後の迫力あるパーフェクトな演技、そして滑り終えてから大観衆に向かって申し訳なさそうに両手を合わせていたシーンが、とても印象に残りました。
さて、一流のスポーツ選手はミスをしても、次のリカバリーをする練習をしているといわれます。感情を上手にコントロールする力、折れない心、これは『レジリエンス』と言われています。レジリエンスは心理学用語であり、「精神的回復力」「抵抗力」「復元力」「耐久力」などとも訳されるそうです。先日、NHKで放送されました。埼玉学園大学の小玉教授によると、一流のスポーツ選手はレジリエンスが高いとのこと。その代名詞といえば、イチローやマイケルジョーダンですよね。スポーツの場合、お客さまに楽しんでもらえるよう、失敗しても「心の回復力」が求められます。そのためには自分をどうコントロールするかが肝心。
心の回復力はスポーツの世界に限りません。現代では多くの人が職場や学校で厳しい競争にさらされ、ストレスを感じております。心が折れそうになった時、うつ病を防ぎ逆境から立ち直る力(レジリエンス)は、普段から身につけることがとても重要となってくるのですね。レジリエンスは、学習によって誰でも身につけることが出来るのだそうです。
ここで、小玉教授によると、レジリエンスには思考の柔軟性が必要なのだとか。厳しい状況に直面してもネガティブな面だけでなく、ボジティブな面を見いだすことができる人が、逆境を乗り越える事ができるということですね。いつかは出来るんじゃないかと、楽観的に考えることも、レジリエンスが高いといえるそうです。ということは、単なる『極楽トンボ』と思っていたうちのリーダーは(第151話)、実はレジリエンスが高いということになるのでしょうか?
ダンス遠征で一回負け(予選落ち)をモノともせず、格上選手や若い子達と同じフロアに立つことに怖じず感謝し、競技会とあらばどこにでも出没するリーダー君、「出来っこない」「勝てっこない」「笑われるだけ」と悲観的になってしまうパートナーに、こう語ります。
『同じ人間だ。出来ないことはない。』
リーダー:「成子さん、ボクはネガティブな言葉は嫌いだよ。Mr.レジリエンスと呼んでくれ!」(笑)
★運命よ そこをどけ 俺が通る (マイケルジョーダン)
著者名 眼科 池田成子