誰でも苦手なことは、1つや2つあるのでは? 私の場合は作文。十代、二十代の頃は、文を書くことが大の苦手。実際に筆を持つと(もしくはパソコンのキーボードに手を置くと)フリーズ。礼状を書くことすら、ままなりませんでした。そんな自分が情けなくて、劣等感に苛まれていました。そんな時、ある著書に触れたことで衝撃を受け、それはその後の自分を変えてくれたのです。あんなに苦手だった筈の作文が楽しくなりました。その著書とは、加藤諦三著『生きること』
……どんなに下手な文章でも、その人を知っている人が読んでくれるならば、その人を知っているという意味において、その文はバイロンの詩に匹敵する……
「自分の稚拙な文が、バイロンの詩に匹敵する!」
そして今日に至るまで、文才のない自分が勇気を持って文を書き続けていられるのは、加藤諦三先生からの尊いメッセージのお蔭です。先生の著書とご縁があったことに、深謝しております。
さて、ご存知の通り。バイロンはイギリス・ロマン主義を代表する19世紀の詩人です。数々の恋愛詩と叙事詩を残し、ギリシャ独立戦争に従軍しましたが、熱病にかかり同地で死去。彼の名言集の中で、有名なものには次の作品があります。
愛する女と一緒に日を送るよりは、
愛する女のために死ぬ方がたやすい。
ずいぶん敵を持ったけど、妻よ、
お前のようなやつははじめてだ。
すべての悲劇というものは死によって終わり、
すべての人生劇は結婚をもって終わる。
「うん、うん、分かる!」と、上記のバイロンの残した言葉に身を振わせて共感なさるならば、現代において貴方は貴重で数少ない、ピュアなロマン派でしょう。
ここで、さらなる勇気をいただいて。筆者を知っている方が読んで下さるならば、『筆者を知っている』という意味において、芭蕉や一茶の句に匹敵するかもしれない作品を、謹んでご披露させていただきます。
病院の 採尿トイレで するう●ち
飛蚊症 網膜剥離か 我が目診れず
真夜中に 白衣姿で 踏むサンバ
著者名 眼科 池田成子