社交ダンス物語 145 リーダーとパートナーの会話 17

コラム

 とある、ダンスパーティーにて。
リーダー:「あの方に、踊ってもらいたい。」
パートナー:「綺麗な人ね。誘えば良いのに…。」
リーダー:「僕より遥か格上の、競技選手のパートナーさんだよ。しかも、リーダーも一緒だ。」
パートナー:「彼女のリーダーさん、ステキ! 私も是非、踊っていただきたいわ。」
リーダー:「成子さん、2人でお願いに行こう。」
パートナー:「入れ替えっこね。2人でお願いするなら、コワくないわ。」
チビ・ハゲは勇敢に、格上選手にダンスを申し込む。交渉成立(笑)。

 ある男性に誘われて、その方と20曲ほど踊り続けた後で。
リーダー:「成子さん、なぜあんなに長く踊っていたの?」
パートナー:「いつまでたっても、放してくれないんだもの。こちらからお断りするのも悪いし。」
リーダー:「ダンスパーティーでは、より多くの人と踊るべきだよ。どんなに気に入った相手でも、多くて5曲までだ。」
パートナー:「放してくれない場合は、どうしたらいいの?」
リーダー:「ありがとうございましたと言って、腰を45度曲げる。そして後ろ姿を見せて、さっと去る。スマートにね。」
パートナー:「了解。」

 その日の最高齢と思われる男性から、お誘いを受ける。パートナーはまたもや、リーダーから指摘された。
リーダー:「成子さん、同じ人と頻繁に踊っていたら、パーティーで周囲のひんしゅくを買うよ。」
パートナー:「数曲踊って離れた後も、追ってくるんだもの。喉が渇きましたと言ってドリンクコーナーへ逃げたら真後ろにいるし、疲れたので休ませてくださいと椅子に腰掛けたら、私の隣に座って話かけてくるの。ここに来ていることを、お父さんは知っているのかって。私を『女の子』と思っているみたいよ。」
リーダー:「それは大変だ。成子さん、その人の目をみてあげなきゃ!」

著者名 眼科 池田成子