筆者は毎晩のように、夢をみます。夢なんてほとんどみない、みてもすぐに忘れるという人もいるようですが、自分の場合、夢を鮮明に覚えていることの方が少なくありません。『夢日記』をつけていた時も、あったくらい。夢は白黒ではなく、カラーです。多い日は映画のごとく、三本立てでみます。
自分がみる夢の特徴は、1)ほとんどが、いわゆる『怖い夢』。2)夢の中の自分は子供。3)同じ夢を、日をかえて繰り返しみる。眠りの研究家によると、欲求不満がもとになって夢に表れたり、潜在意識の中にある膨大な情報のうち一部が、何かのきっかけで夢に登場しているのだとか。悪夢は過度のストレス状態のときにみる傾向が強いといわれますが、筆者の場合、今夜はどんなコワい夢をみるのかしらと、わくわくしながら布団に入る日もあります。ここで、筆者のみるコワい夢のいくつかをご紹介いたしましょう。
ウルトラマンに登場する怪獣の夢。巨大な怪獣が追いかけてきます。先頭をきって、我れ先に逃げている自分がいます。後ろで走っていた幼い妹の悲鳴が聞こえ、相次いで弟の悲鳴も…。怪獣はどんどん自分に迫ってきます。そして頭上には怪獣の黒い足の影が…。「ああ、踏みつぶされる!」そう思った瞬間、はっと目が覚めます。ちなみに、お坊さんである弟と妹にその夢を語ったら、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』のごとし、自分だけ助かろうとした慈悲の心のかけらもない姉に、呆れておりました。(苦笑)
中学の同級生だった男の子の夢。憧れの男の子の夢ならHappyなのですが、夢に出てくるのは、隣の席に座っていた嫌いな『だんご鼻』の男の子。なぜ、嫌いかですって? その子は筆者を「池チビ!」と呼び、チビを小馬鹿にしていましたので。しかも先生の前ではいい子ぶって、クラスの女の子達の胸を触っていました(触り魔)。その子が夢の中で、嬉しそうな顔をして自分にキスを迫ってくるのです。逃げようとしたら抱きしめられて、身動きとれず。その時、『ひょっとこ』のように、きゅーっと細く尖らせてぴくぴく動く不気味な唇が、自分の顔面に接近…。悲鳴とともに、目が覚めます。ちなみにペチャパイだったお蔭か、筆者はクラスの『触り魔』達から胸を触られるという被害に遭ったことは、ございません。(笑)
これは、社会人になった今も、驚くばかりに頻回にみる夢。高校で古文の授業を受けています。自分は古文の教科書を忘れてきました。教科書を貸してくれるよう、よそのクラスの子に頼みます。しかし、だれも貸してくれません。教科書なしの授業が…。授業中に先生から、「池田君、右から何行目を訳して下さい」と指名されたらどうしようと、ハラハラしながら息をひそめている自分がいます。ちなみに当時理系だった筆者は、古文が苦手だった訳ではありません。古文の授業は楽しくて、古文の先生も好きでした。
最近みた、超コワ夢といえばこれ。場所はうちの病院の手術室。夢の中の自分は実年齢です。手術用の帽子とマスクを着用のもと、青い手術衣姿の自分がおります。これから執刀が始まろうとしています。手術用のゴム手袋をつけようとしたら、手袋に手が入りません。そう、自分の両手の指先が全て、なくなっているのです。周りにいる看護師達は無言のまま、まだかまだかという視線で自分を催促します。手術台の上の患者さまもしかり。「まだか」という眼差しで、手術を促されます。焦って手術用手袋の中に無理矢理手を入れようとしますが、何度こころみても手は入らないのです。(ホラー映画よりも、コワい?)
ダンスにまつわる怖い夢。これも迫力とリアリティあり? 夢の中で、チャチャチャの前進後退のロックを踏んでいます。「ツースリーチャチャチャ」と口ずさみ、繰り返し何度もステップを踏むのですが、幾度踏んでもチャチャのカタチになりません。「できない、できない…」死に物狂いで延々とステップを踏み続けている自分がいます。夢の中で、「これは悪夢だ!」と、あえぎ、もがき苦しみながら…。夢か、うつつか…。これ、ぜんぜん夢じゃありませんよね。現実の自分も、チャチャのステップはろくに踏めませんので。(苦笑)
皆さま、いかがでしたでしょうか。筆者のみるナイトメア、潜在意識の中の欲望や欲求不満は哀れで情けないけど、ちょっと笑えますよね。ちなみにうちのリーダーも、ダンスの夢をよくみるそうです。遠征先の競技会場で、試合に出遅れる夢なのだとか。トイレに行っていたら、もう試合は終わっていた。これから踊るというのに、パートナーがいない…など。競技選手にとって、試合に出遅れるのは『悪夢』以外の何ものでもありませんので。みるなら、楽しいダンスの夢をみたいものです。
じきに、賑やかなクリスマス・シーズンが到来いたします。ダンス愛好家にとって、クリスマス・ダンスパーティーは、とても待ち遠しいもの。チビの筆者、今宵は長身のシンデレラになって純白のドレスをまとい、ダンスの王子様とワルツを踊っている夢をみますことを!(笑)
著者名 眼科 池田成子