幸運なことに本年度も、毎年6月に開催される全日本シニア選手権の出場資格をゲット。田舎からやってきたチビ・ハゲは、日本武道館という大海へ乗り出してゆく(笑)。
今回はこれで5回目の挑戦。大会初日の6月14日は、ラテンアメリカン部門。日本各地から、54組のカップルがエントリーしている。会場の入り口付近に設けられているビデオ受付カウンターでは、本試合のDVDの予約限定割引を実施していた。昨年度のDVDでは予選から決勝までが収録されており、自分達も最初の方で、ちょこっと映っていた。昨年同様に予約しようとしたところ、お店の人いわく本年度は準決勝からの収録になるという。
パートナー:「私たち、映らないから。結構です。」
お店の人:「大丈夫ですよ!(笑顔)」
パートナー:「……。」
リーダー:「準決勝まで残れたら、購入しに参ります。」
本年度の競技種目は、チャチャチャとサンバ。井の中の蛙、大海を知る!地方の試合ではそこそこの成績でも、全日本となれば自分達の踊りは『お遊戯』同然(涙)。結果は、一次予選敗退。しかも、ゼロチェック。自分達は本大会シニア・ラテンの最下位という成績であった。
パートナー:「ほかの選手達と比較して、私たち目を覆いたくなるような踊りをしていたのでは? 引っ込め!って、観客席から物が飛んできそうな…。」
リーダー:「そんなことないよ。世界チャンピオンと同じフロアで、日本の選手達が踊っている感じかな?」
パートナー:「……。」
4年前、初めて本大会に出場したときも、ゼロチェック、一次予選敗退であった。あの時は、憧れの日本武道館のメインアリーナで踊らせてもらえただけで感激。コーチャーの話によると、予選を踊り終えてフロアから退場の際に、よその選手達は(勝ち上がれるかどうか)険しい表情をしていたそうだが、自分達は満面の笑みであったとか。だが、さすがに5回目ともなれば、ゼロチェックは痛い。(涙)
パートナー:「明日のスタンダードの試合もゼロで最下位だったら、『ダンス物語』の良いネタになるわ。」
リーダー:「成子さんのエッセイネタには、絶対にならんぞ!」
大会二日目の6月15日、この日は地球の裏側で、サッカー・ワールドカップ、日本対コートジボワール戦が開催されていた。同日開催となる全日本シニア選手権スタンダード部門の競技種目は、ワルツとタンゴ。117組のカップルが出場。日本武道館のフロアサイドの光景は、地方の競技会とは異なっていた。整列している燕尾服姿のリーダー達は皆、目を見張るばかりに美しい。その美しさを表現するならば、凛然とした青竹のよう。青竹の中に、ずんぐりとした珍妙な小動物が…。それ、うちのリーダーだ!(涙)
「美と技」を競い合うボールルームダンスの競技会において、自分達は踊る前からルックスで負けている。だが、チビ・ハゲとはいえ、ラテン・スタンダード共に一次予選ゼロチェックという惨敗を喫して、糸魚川へ戻ることは許されない。その理由は、4つ。
1)田舎からやってきたチビ・ハゲ組は至上最悪の記録を、日本のシニア・ダンス界に刻印することになる。
2)本大会は、コーチャーから譲り受けたピンクのドレスで出場。コーチャーは現役時代、このドレスを纏い死力を尽くして闘っていた。
3)病院の推薦で、糸魚川総合病院のホームページに『ダンス物語』を連載で掲載させていただいている。ボロ負けが続けば、うちの病院の沽券にかかわる。
4)試合とならば、どこにでも出没すると冷やかされるうちのリーダーを、『負け犬』にする訳にはゆかない。
パートナー:「ダックスフンドは強いんでしょ。(第130話)フロアをかき散らして、ワンチェックもぎ取ってちょうだい!」
リーダー:「了解 ♪」
一次予選を踊り終えて。コーチャーからのコメントは…
「スウィングが足りません。ドレスは映えていました。」
さて、結果は… 一次予選敗退。チェック数は… ゼロではありませんでした。著名なジャッジの先生方から、4チェック戴きました。(ほっ)
挑戦だけがチャンスを作る! チビ・ハゲは、次にパートナーの出身地で開催される富山県ダンススポーツ大会に向けて、走り出したのであった。(笑)
☆自分達の憧れのA級選手、長野のTさんと新潟のOさんは、シニア・スタンダードで見事決勝に進出! 新潟のK組は、グランドシニア・ラテンアメリカンにて栄えある優勝に輝きました! 田舎組、全日本でガンバレ!
著者名 眼科 池田成子