社交ダンス物語 124 リーダーとパートナーの会話 14

コラム

 盆暮れ正月なく、結婚のあてもなく(涙)、病院の講堂にはダンスの練習に励む40代独身男女の姿あり。その日の晩は二人組んで、あえぎながらワルツの練習をしていた。リーダーは踊りながら歯をむき出し、パートナーは顔を歪めている。

パートナー:「苦しい… 先生(コーチャー)と踊ったら気持ち良いのに。あなたと踊ったら苦しいわ。」
リーダー:「先生と踊って気持ち良いのは当然だよ。成子さん、そんな事を言っているようでは、ダンサーとしては“養殖モノ”だよ。“天然モノ”のダンサーにならなければ…。」
パートナー:「糸魚川産のヒスイうなぎ、養殖モノだけれど、味も形も一級品よ。」
リーダー:「……。」

 ホワイトデーに、ある人からチョコのお返しに大好物のうなぎを戴き、上機嫌であったパートナーだった。


☆ところで、天然モノのダンサーって、どんな人?

著者名 眼科 池田成子