社交ダンス物語 119 2014年の抱負

コラム

 読者の皆様、新年明けましておめでとうございます。お正月はリラックスされましたか? お正月といえば、年賀状が届きます。戴いた年賀状は、宛名が印刷されたものが圧倒的に多いのですが、中には直筆で書かれたものもあります。筆者は毎年、年賀状の裏は競技会で踊っているダンスの写真、表の宛名は毛筆で書くようにしております。『宛名職人』等の年賀状作成ソフトで印刷すれば、あっという間、非効率的と思われるかもしれません。中には年賀状だけのお付き合いという方もいらっしゃいます。直筆の素晴らしい点は、宛名を書きながら、わずかな時間でもその人のことを想い起こすことができるからです。

 さて、その年賀状ですが、宛名を書きながら自己嫌悪。どうして自分はこんなにも、書が下手なのかしらと。ちなみに筆者の親族は仏教寺院で僧侶をしている人が多いのですが、みなさん達筆。秀吉の妻、ねねのように、ため息が出るほど美しく見事な書を描く伯母に、どうしたら伯母のような美しい字が書けるのかたずねたところ、こんな返答がきました。
「今日からペンを持つことを忘れなさい。電話のメモの走り書きも、全て筆で書きなさい。」
 
 同じことは、ダンスにおいても当てはまるようです。ダンスが下手な筆者、どうしたらコーチャーのような美しいダンスが踊れるのかたずねると、コーチャーはこう言います。
『ダンスばか』になりなさい。
コーチャーの言う『ダンスばか』とは、日常生活のあらゆることを、全てダンスに結びつけて考える人のことを差します。例えば、電車やバスで移動中も、つり革につかまらないでつま先で立ち、バランスを保ちなが降りる駅まで筋トレ。家庭においても、たたみ一畳あれば、充分なダンスの練習ができるとか。またハンガーを利用して、ラテンの前進後退の正しいポジションの確認や、相手がいなくても壁を利用してスタンダードのスローアウェイ・オーバースウェイの練習もできるそうです。

 眼科医の筆者の場合、右手に倒像鏡、左手にレンズを持って一日に100人余りの患者さまの眼底検査を行いますが、その時はスタンダードのホールドを意識しています。(ダンサーは、背中が命)ダンス上達のためには、コーチャーの仰せの通り、『ダンスばか』になることが肝心。手術室においては、患者さまの入れ替わりを待つ時間は、新しい術衣と手袋に替えてからクカラッチャ(腰を8の字にくねらせる)を意識。時にはチャチャチャのシャッセやルンバのオープンヒップツイストなど、看護師さんと世間話をする時間があればラテンのベーシックを踏んで待ちます。仕事が一段落した後は、病院の長い廊下をサンバ・ウォークやクリスクロスで移動。(夜間だけです。昼間は遠慮します。)

 結語、そして皆様へのメッセージ。師匠(プロ)と呼ばれる伯母やコーチャーの言葉にあるように、何事も極めるためには半端ではいけないということでした。未熟者の筆者ですが本年こそダンス昇級を目指し、身をひきしめて前進したいと願っております。糸病コラム、『ダンス物語』の愛読者の皆様、どうかこれからも変わらぬご愛顧を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。


「池田先生、ダンスもいいですが、もっと勉強して下さい。」
うちの大学の教授先生からそう言われたら、筆者の首根っこは縮こまるばかりでありますが…(苦笑)

著者名 眼科 池田成子