社交ダンス物語 117 講習会の後で

コラム

 さて、先般開催された新潟県スポーツダンス選手権、シニアラテンアメリカンの成績は、予想通りの最下位であった。自己の向上のため、常にお勉強をすることは肝心。医師にとって、学会や各地で開催されるセミナーがあるように、ダンスにおいても勉強会がある。ラテンA級、新潟県選手権シニアラテン・チャンピオンである講師を招いての講習会が上越で開催されるとのことで、自分達も喜んで参加する。

 会場は、上越勤労身体障害者体育館。暖房が入れてあるとのことだが、建物が古いためか、体育館はまるで巨大な冷蔵庫。高校時代、体育の授業で受けた『寒稽古』を連想する。ここで競技選手達は、ラテンのレクチャーを受けた。各カップルで指定された簡単なベーシックを踊り、悪い所を指摘してもらう。自分達が指摘されたことは、リーダー・パートナー共に床に重心が乗れていないこと。
『それって、ラテンの基本中の基本では…』(涙……笑)

 講習会では受講者は講師と組んで踊ってもらい、一流の踊りを体感させていただいた。普段はうちのリーダーとしか踊らないが、A級選手に踊ってもらって大感激! 男の人を比較して申し訳ないが、リードが巧み!(うちの人と、全然違う)ちなみにうちのリーダーも彼のパートナーさんに踊っていただき感動していた。自分はお釈迦様の掌の中の孫悟空だったとか。仕掛ける側は男子であるが、仕掛ける前からこちらの動きは全てお見通しのようであったという。(笑)

「皆さん、このたびお招きした○○さんに踊っていただき、とても嬉しかったことと思います。その感動の気持ちを、次はお客さまにも伝えてあげて下さい。」
 会長から中締めの言葉があった。会はこれで解散ではない。講習会の後はここで、競技選手達が一般のお客さまのお相手をするダンスパーティーが予定されていたのだ。

 いよいよ恒例の、WINTERダンスパーティーの開幕となる。おめかしされたお客さま達が、続々といらっしゃる。先程の感動の気持ちを、どうやってダンスで伝えたらよいのだろう…。思案しているうちに、お客さまの中で最年長と思われる紳士から、筆者にお誘いがかかる。緩やかなワルツの曲が流れた。粗相のないよう細心の注意を払いホールドを組もうとしたところ、その老紳士はルンバの立ち姿勢をなさった。周りの人達はみな曲に合わせ、ワルツを踊っている。
「違います! これはルンバではありません。ワルツです。」
そう言って、無礼者と思われようものなら一大事。曲の始まりから終わりまで、笑顔でルンバを踊り通す。(涙)

 先輩達と違い、自分はパーティー慣れしていない。筆者にとって、ダンスパーティーは修羅場である。踏歴イコール競技歴といってよい自分は、スタンダードの種目はともかく、サンバやパソ・ド・ブレに関しては、自分達の競技の足型しか知らない。お客様から誘われて、「踊れません!」では格好がつかない。よって、サンバやパソの曲が鳴り始めると、お客さまからお声がかかる前に、トイレに行くふりをしてさっと会場から離れる。もしくはあたふた携帯電話をいじったり、音響装置の裏に隠れたり…。何かと忙しい。(苦笑)

 WINTERダンスパーティーでは、景品ならびにミニ・デモ付きの抽選会あり。クライマックスは、先程の講習会で講師をしてくれたカップルによるラテンのデモ。会場は沸き上がった。アンコールの声と拍手が体育館に響く。
「あなた達の踊りに、感動しない。」
先日のレッスンで、コーチャーからコメントされたばかりであったが(涙)、人に感動を与えるダンスって本当に凄い。そう実感した一日であった。 


☆パートナーの目標
その1 ダンスパーティーでサンバとパソが流れても逃げ出さない。
その2 「いいぞ、チビ・ハゲ、もう一度見せろ!」
   観客席からそう声援される競技選手になりたいです。

著者名 眼科 池田成子