社交ダンス物語 115 How to ダンス

コラム

「楽しくなければ、ダンスじゃない。」
「笑顔!」
 コーチャーから、そう指摘されることがしばしある。競技会やレッスンの時、怖い顔をしながら筆者は踊っているらしい。ちなみに社交ダンスの素晴らしい点は、初対面の人と楽しく踊れること。普段は競技の練習のため、決まった人と決められた足型を踏んでいるが、自分達のダンスを見直すため、お隣の富山県で開催されるダンスフェスティバルに参加することにした。
 
 第一回目のダンスフェスティバルとはいえ、満席で大盛況。イベントも盛り沢山。富山県のアマチュア競技選手の皆さんによる華麗なるデモ、ダンスタイムにフォーメーション、プロの先生による講習会、そして中部ブロックのプロ・スタンダートチャンピオンによるデモあり。開演は午後12時、予定された4時間はあっという間に過ぎていった。 

 ダンスフェスティバルで最も印象に残ったことは、誰もが笑顔。(アマチュア競技会では、あり得ないこと)自分の隣の席に座っているご婦人は、一曲も踊らないのに、とても楽しそう。リーダーがお誘いしたところ、やんわりと断られた。彼女の足下を見て納得。(おみ足は、スリッパでした)。そこでは、見ている人も幸せにしてくれる。うちのリーダーは、ダンスタイムで女の人と踊っている時は、この世の至福を思わせるような表情をしている。一方、競技会で筆者と踊っている時の写真を見ると、どれも顔を歪めている。

 ある男性から、筆者にもお誘いがあった。喜んでお受けする。ルンバの曲が流れた。社交ダンスでは、男性のリードに合わせて女性は踊るもの。曲が鳴ってしばらくの間、その人は動き出そうとしない。
「音に合っていますか?」
その紳士、そう言って照れている。その笑顔が、キャワイイ!(笑)。そこで筆者の号令のもと、二人は踊り出した。
「ワン ツー スリー フォー ワン…」
舵取りは女子。競技ではあり得ないこと。でも、裏カウントで踊らされるより、気持ち良く新鮮で、とてもハピー。

 笑顔にはコンプレックスを取り除き、足りないところを補ってくれる相乗効果がある。自分達の日々の練習を思い返す。しかめっ面で踊りながら、「リードが伝わらない」「そっちが悪い」と、互いに文句を言い合ったり…。でも、そんな時こそ、How to Dance。ボールルームダンスは、二人で踊るもの。
「重くありません?」
“スマイル”(笑え)と言われてもキビシいけれども、次はリーダーに可愛く会釈してみようかな。(笑)

著者名 眼科 池田成子