さて、みなさま。男のお仕事、女のお仕事と言えば、何をイメージされるでしょうか? 筆者の場合、『日本昔ばなし』に登場する、おじいさんとおばあさんが、そのモデルのひとつ。
「おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に…」
古からの名文あり。現代では全自動洗濯機でワンタッチ。川で洗濯をしていたというおばあさんにしてみれば、昔の女の仕事は相当ハードな肉体労働であったと想像される。
『イクメン』という流行語があるように、時代や環境、価値観やライフスタイルによって、男女の仕事は多様化している。今は昔、筆者が研修医だった20年以上前のことを思い出す。大学院へ進みたいと、当時の大学教授に申し出たところ、次のようなお返事をいただいた。
「池田君、じきに君は結婚するよ。いばらの道を歩まなくていい。」
外科系のドクターという職業は、当時は男の仕事とみなされていた。ちなみに筆者は未だ結婚とは縁がない。(教授先生の嘘つき〜;!!)
ここで、時代や東西を問わず、受け継がれている男女のお仕事がある。それは、ボールルームダンス(社交ダンス)。それぞれの役割は明瞭だ。男子にできて女子にできないことは、方向を決めることと、ステップ(足型)を決めること。女子は男子のリードなくして、勝手に動いてはいけない。女子は受け身。リードを受けて、はじめて次のアクションが起きる。
「方向とステップを決めることが、男子の仕事ならば、女子はそれを受けているだけ?」
「じゃあ、女って楽なのね。」
そう解釈されるかもしれない。ある意味ではそう。でも、社交ダンスにおいて、女子には女子の仕事がある。それは、空間にふわりと浮いていること。
「もっと滞空時間を長く!」
ワルツのレッスンの時に、コーチャーから指摘される。
… 鳥人間じゃないのに、どうやって滞空するんだ? …
ここで解説。ワルツはスイングが命。美しくワルツを踊るためには、イメージとして水上に浮かぶフロート(浮き)であることが、女子のお仕事。男子に背中を支えられながらも、寄りかかって相手に負担をかけてはいけない。「私はどこへ行くのかしら?」とばかりに、相手の右腕の中で常に上体を空間に浮かせて、リードにあわせてフレキシブルに動くことが肝心。しかも7センチヒールの靴をはいて、バランスを保ちながら。
マニアックなお話になってしまいました。男子をリーダー、女子をパートナーと呼ぶように、ボールルームダンスには、それぞれのお仕事がありました。男女の間で、ダイナミックかつ美しいスイングが生まれますことを!
☆リーダーさん達、シャドーの時は気持ち良さそうにスイスイと踊っているのに、女子と組んだら踏ん張ったり、よろけたり、あえいだり…。女子を美しく見せるためのお仕事は、とても大変なのですね。頭が下がります。ご苦労さま。(笑)
著者名 眼科 池田成子