去る9月8日、2013年・秋期関東甲信越競技ダンス、千葉県大会が開催された。その日のラテンアメリカンC級戦において、自分達は3次予選敗退。リーダーの運転する車で、遠征地である千葉を早々に出た。そして高速道路で、糸魚川へと向かう。
リーダー:「おなかが緩くなった。早くパーキングエリアに入らなきゃ!」
パートナー:「まさに脱糞寸前で、敗走している訳ね。」(ダンス物語・第110話)
リーダー:「昨日、居酒屋で食べた焼き鳥のせいかな?」
パートナー:「節制が必要と言っておきながら、試合前夜にあなたも私も食べ過ぎだわ。」
最寄りのパーキングエリアで、リーダーは事なきを得る。(笑) そして再び糸魚川へ向けて、車を走らせた。
パートナー:「そういえば、昨夜入った千葉の居酒屋、おすすめの日本酒ベスト6に、新潟のお酒が2つもリストされていたわ。」
リーダー:「八海山(はっかいさん)と、麒麟山(きりんざん)だったね。新潟を誇りに思うよ。」
パートナー:「ベスト6といえば、競技ダンスの決勝もそうよね。新潟のお酒はとても優秀というのに、新潟の選手である私達は今回の試合でベスト12(準決勝)にも残れなかった。」
リーダー:「……。」
それからリーダーは、暗い表情で無言となる。車内の気まずい雰囲気を察知したパートナーは、話題を再びお酒に戻した。
パートナー:「ベスト6の中にあった千葉のお酒、梅一輪(うめいちりん)『躍(おどる)』の大吟醸、サブネームも素敵なお酒ね。美味しかったわ。」
リーダー:「うん、辛口でありながら、まろやかな余韻も残る美酒だった。酒は新潟と高をくくっていたけど、千葉にも美味しいお酒があるんだね。糸魚川の酒、謙信(けんしん)に負けず劣らずだ。」
パートナー:「そうよね。富山(パートナーの出身地)にも、新潟に負けないお酒があるわよ。私のおすすめは、立山(たてやま)と満寿泉(ますいずみ)。」
競技ダンスの試合を終えて、先程まで『お通夜』のようなリーダーであったが、酒の話に花が咲く。
パートナー:「癖のあるお酒も魅力的だけど、上等なお酒は水のようにツーっと入ってゆくわ。」
リーダー:「上善如水!(じょうぜんみずのごとし!)」
多弁になり、リーダーは嬉しそう。
パートナー:「ところで。私たち吟醸酒評論家を目指す方が、ダンスをするより芽が出るとか…。」
リーダー:「……。」
それからまた、『お通夜』が到来する。(苦笑) 一週間後に控えた関東甲信越競技ダンス群馬県大会の成績はいかに…。
○パートナー:「あなたが負けてくれたお蔭で、また良いエッセイが書けそうだわ。」
●リーダー:「エッセイにならなくて良いから、たまには勝ってみたいよ。」
著者名 眼科 池田成子