関東甲信越シニア・グランドシニア競技ダンス栃木県大会のこと。遥々新潟から遠征したというのに、ラテンA級、スタンダードB級ともに1回負け。しかもラテンは、ノーチェックという結果であった。選手控え室には、ガックリ肩を落としたリーダーとパートナーの姿あり。
パートナー:「医者になるのと違って、芸術とスポーツは努力だけでは報われないのね。」
リーダー:「……。」
パートナー:「才能に恵まれた人が努力をして、はじめて報われる世界なんだわ。」
リーダー:「……。」
パートナー:「あなたも私も、ダンスの才能は全くないわね。」
リーダー:「……。」
パートナー:「このまま競技を続けるのは、いかがなものかしら?」
リーダー:「……。」
リーダーは無言。うつむいたまま、悲しい顔をしている。
パートナー:「でもね、身長も髪の毛もなく、自称『女にモテない40代独身』のあなたからダンスを取り上げたら、何も残らないんじゃない?」
リーダー:「……それもそうですね。」
『僕からダンスがなくなったら、さみしい。ダンスは一番!』そう言って笑顔を見せる、けなげなリーダーであった。(涙……笑)
◆パートナー:「あなたがボロ負けしてくれたお蔭で、また良いエッセイができそうだわ。」
☆リーダー:「成子さん、病院エッセイのネタ探しのために競技会に出るの?(涙)」
◆パートナー:「そんなことないわ。私だっていつかはあなたに勝ってもらいたいと思っているわよ。(笑)」
著者名 眼科 池田成子