社交ダンス物語 78 リーダーとパートナーの会話 6

コラム

 ある日のこと、コーチャーによるルンバのレッスン中に、ダンス教室の壁に貼られている世界のトップダンサーのポスターの前へと、二人は連れてゆかれた。そこにはドレスを翻した野性的な肉体美の女性、そして彼女を挑発する官能的で力強いボディーラインの男性の姿があった。

コーチャー:「このポスターを見て、どう思いますか?」
リーダー:「素晴らしい! 迫力があります。」
コーチャー:「自分達の踊りとの違いは?」
パートナー:「……。(ルックスから全て違い過ぎ!)」
コーチャー:「挑発が足りません。お互い相手をもっと挑発して踊りなさい。そうでないと、試合では勝てません。」

『ルンバ』は、男と女の『愛の踊り』と言われる。なるほど、自分達の踊りに足りなかったものは、『技』はさることながら『挑発』だったのかと、リーダー・パートナーは共にうなずく。それから二人は熱心に、レッスンを続けた。そこでパートナーは、深いため息をつく。

パートナー:「あなたから、挑発を感じないわ」
リーダー:「……。」
パートナー:「もっと私をチョーハツして、踊ってちょうだい」
リーダー:「成子さん、額に“ぶり刺し”付けて踊ってよ」

真面目な顔で、そう答えるリーダーであった。(涙…笑)

☆ぶりのお刺身は、リーダー君の何よりの大好物だそうです。

著者名 眼科 池田成子