社交ダンス物語 74 「リーダーとパートナーの会話4」

コラム

 大寒の中、省エネのためエアコンを切った病院の講堂には、寒さに負けじと毎晩のようにダンスの練習に励む40代独身男女の姿あり。春期競技会も近し。その日二人は、千葉大会の競技種目であるルンバの練習をしていた。

リーダー:「成子さん、ルンバは男と女の愛の踊りなんだよ。男と女の違いをはっきり見せなければ、競技会で勝ち上がれない」

パートナー:「男と女の違いですって? 医者には男も女もないわ。それに今は、女の方が強い時代よ」

リーダー:「……。それもそうですね」

 寒い寒いと言いながらも、二人はダンスの練習を続ける。

パートナー:「そういえば、昔話しにあったわね。お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に…。昔は男と女は、それぞれの役割があったのね」

リーダー:「ダンスに関しては、今も昔も大有りだよ」
 
 そこで二人は考える。男らしく踊るって何? 女らしく踊るって何? 男と女の愛の表現って何?

パートナー:「恋人同士でルンバを踊れば、観客から声援を受ける素晴らしい踊りが出来るでしょうね」

リーダー:「ダンスは、なりきることが必要なんだよ」

 ダンスパーティーで、どのご婦人も『僕の恋人』と、ときめいて踊るというリーダーは、プロも顔負けのラテンダンサーでしょうか?(笑)


著者名 眼科 池田成子