誰だって子供の頃は、『あんな大人には、なりたくない!』と思ったことの一つや二つはあるのでは? 筆者の場合『酔っぱらい』が、その一つだ。子供の頃、父に連れられてよく酒場へ行ったものだが(ダンス物語・第45話)、そこには衝撃的なシーンがあった。トイレのドアを開けたら、鍵もかけずに女の人が便座に座り、気持ち良さそうに眠っていたのだ。
「信じられない! この酔っぱらいのオバサン!」
少女は、そう思った。…かつての少女は大人になり、上野駅の構内の地面に座り込み、見知らぬ酔っぱらい達と頭をシンクロさせるまでに成長した…(苦笑)。
子供の頃、こんなエピソードもある。あるご婦人とレストランへ行った時、食後のメロンジュースが飲みきれず残したら、持ち帰るよう勧められた。子供の私は遠慮した。そのご婦人は飲み残しのメロンジュースのグラスを持つと、堂々と店を出ようとした。
「オバサンだから、いいの」
彼女は笑って一言。
持ち出し成功! お店の人は、彼女の大胆さとその迫力に圧倒されてか、何も言えず。(笑)
ところで、『オバサン』の診断基準とは? 「恥ずかしい」「信じられない」「あつかましい」と、お子様や殿方が退いてしまうような行為を、人目を気にせず実践なさるご婦人を『オバサン』と呼ぶと、自分なりに定義してみた(笑)。
さて、リニューアルした糸魚川のスーパーマーケット『原信』、お酒も豊富で筆者は毎晩のようにお世話になっている。仕事を終えて買い物に行くと、鮮魚コーナーでは『ぶりスライス養殖刺身用480円』の表示の上に、350円のシールが貼られていた。これはラッキーと思いそのパックを手に取ると、その脇で若い男性の店員さんがさらに値引きのシールを貼っているのに気がついた。なんと、お刺身のパックは、どれも『スバリ128円』となっている。店員さんのお仕事の邪魔にならないよう、すべてのお刺身にシールが貼られるのを私は待ち構えていた。彼が最後のお刺身にシールを貼り終えるや否や、私は手に持っていたパックを差し出した。
筆者:「これにもシールを貼って下さい」
店員:「貼ってある物をお持ち下さい」
そう言うと、店員さんは逃げるようにその場を去っていった。シールを貼ってもらえなかったのは、お店の方針なのか彼のポリシーなのか、いずれにしても『スゴいオバサン』と思われたことだろう…(笑)。
なんと、リーダーの話によると、ダンスのアマチュア競技選手の中には筆者よりもさらにウワテのオバサンがいたようだ。競技会場の選手控え室での出来事、予選の待ち時間に休んでいたら、あるパートナーさんが目の前で、公衆浴場の脱衣所さながらパンツ一枚だけになり、スタンダードの競技用ドレスに着替えていたという。彼は目の置き場に困ったとか。(ちなみにリーダー君は、女性の着替えをいつも見ている訳ではないそうだ。)ドレスに着替え終わり正面を振り向いた時の、目を見張る彼女の美しさと大胆無敵な行動とのギャップに、リーダーは二度驚いたという。さすが、『オバサン』は恐るべし(笑)。
『オバサン』ではなく、『マダム』と呼ばれてみたいものです…
著者名 眼科 池田成子