ダンス昇級をめざして、関東甲信越ブロックの競技会ならどこにでも出没するリーダーと私。各地の試合にこうも出まくっていると、役員の先生や他県の選手達、そして会場内でのドレスや靴・メイクなどの販売業の方々にまで、知らずと顔を覚えられてしまうようだ。そして、肝心の試合結果といえば、いつも『出るだけ』に終わる(涙)。
「湯巡りパスポートのように、試合に出たら、スタンプを押してもらえたらいいのにね」
コーチャーから、そう言われる(苦笑)。今回の山梨大会も、ラテンアメリカンは1次予選負け、スタンダードは2次予選敗退という結果であった。
「(もう)お帰りですか?」
メイク販売のお兄さんから、競技会場でお声がかかることがある。我々の場合、毎回のように予選で早々に敗退するので、必然的に他の選手達よりも帰りが早くなる。今回の山梨大会も、そのお兄さんが来ていた。格好が悪いので、見つからないように裏口からそっと逃げるように出る。
「私達、なんでコソコソしなきゃいけないの?」
「ああ、ひなたの競技選手になりたい…」
リーダーは、つぶやく。
リーダーが早く負けてくれたおかげで、その日は午後2時すぎに会場を出た。競技会場では、置き引きや車場荒らしに注意するようアナウンスが流れていた。会場の敷地内の駐車場には、役員の先生、そして競技選手達が乗り付けたと思われる外車から高級国産車、コンパクトカーに至るまで、様々な車が並んでいた。今、自分が乗っている車はヴィッツRS。来年の3月には車検をひかえ、10年選手にもなろうとしている。次の車は何にしようかと、(踊りではなく)よその選手達の車を眺めては近づいたり、マニュアルかオートマか、興味津々に中をのぞき込んだりした。
「成子さん、車場荒らしと間違われるよ!」
競技ダンスのリーダーとパートナーは、『セット』で行動することが多い。リーダーは自分にまで容疑がかけられるのではないかと、気が気ではない様子。『スイカ畑で靴ヒモ結ぶな』という諺があるが、パートナーの性分としては、スイカ畑に入ったら、つい靴ヒモを結びたくなる(笑)。
それから帰路につく。車の中で、今回の試合で勝てなかった理由をあれこれ模索する。踊りが下手なのはさることながら、ダンスは見た目の美しさも重要。パートナーの下腹が出てきたのがよろしくないとか、リーダーがカツラにしていれば、あとワンチェック入れてもらえたのではないか…などなど。自分達を負かした選手達は、勝つために相当ストイックな生活をしているに違いない。次の試合に向けて今日から禁酒だ!と、誓いをたてるも、高速道路のサービスエリアで、甲州名物『ほたて甲州煮』を今宵の酒肴にゲットしている自分がいた(笑)。
『一遠征・一珍味』 試合に負けても、これがあるから癒される?(笑)
著者名 眼科 池田成子