競技ダンスのカップルを結成して4年、毎晩ダンスの練習に取り組むリーダーと私である。競技選手にとって、練習時間は少しでも長い方がいい。一日で最も長い時間を、彼と共有している。ひょっとしたら一般の夫婦と変わらないくらいの時間を、ダンスを通して二人で過ごしているのかもしれない。
周りの人々から、こう言われる。あなた達はそんなに一緒にいるのに、なぜ結婚をしないのかと。答えは明快。少なくともリーダーに関しては、既に『ダンス』と結婚をしており、彼は幸せな日々を送っている。(笑)
その日も仕事を終え、病院の講堂でダンスの練習をしていた。40代独身女のパートナーの口から、ふと愚痴がこぼれる。
パートナー:「このままじゃ、結婚どころか彼氏も出来ないわ」
リーダー:「デート禁止令を、僕は出してはいないよ」
パートナー:「一体誰とデートしろっていうの? あなたとばかり踊っていたら、出会いがないわ!」
リーダー:「……。」
パートナー:「ところで。よぉーくみたら、あなたってイイ男ね」
リーダー:「それは成子さんが、ダンスが上手になった証拠だよ」
リーダーはそう答えて、黙々と練習を続けている。その日彼はパートナーから、『真性ダンスばか』という確定診断をつけられたのであった。(笑)
● トッププロいわく、「食べて、寝る」以外は、ダンスをしている。
● アマチュア選手のリーダーいわく、仕事する以外は、ダンスをしているか、ダンスのことを考えている。
著者名 眼科 池田成子