さて、社交ダンスに馴染みのない方が、初めてダンス教室へいらっしゃった時、「これ、何に使うのかしら?」と、ダンスとは無縁と思われる物が置いてあるのを見て、疑問に思われるでしょう。それらについて挙げてみましょう。
まず、たいていのダンス教室の入り口には、洗面器の中に痛そうな針金のブラシが置いてあります。ブラシの先は剣山のように尖っています。これは、ダンスシューズの裏を擦る目的で使います。ダンスシューズの裏は革ですが、滑り易い時にはこのブラシで靴の裏をゴシゴシと擦ります。ちなみにダンスシューズは室内専用、雨の日に外で履いたりはしないように!
次に、教室の入り口付近に、缶に入った白い粉が置いてあるのを見かけます。時々パラパラと白い粉を床に撒く光景が見られますが、これは相撲で土俵に撒く塩とは違います。この白い粉はロウ(鑞)。床が滑り易い時に、滑り止めとして教室の床に少量を撒くのです。
それからロープに竿。社交ダンスは『理論』に基づいた踊りです。男女の正しいポジション、進行方向や距離を示すために、これらを用います。ダンス教室では時折、生徒がロープで縛られていたり、竿を突きつけられているのを見かけることもありますが、決していじめられている訳ではありませんので、ご安心を(笑)。
そして、巨大なボール。このボールの上に軽く腰掛けて、正しいバランスを確認します。背骨の位置が前バランスだったら、お尻がボールから滑って前のめりになるし、後バランスならひっくり返ってしまいます。
最後にダンベル。ダンスで筋力トレーニング?と、疑問に思われかもしれませんね。筋トレ目的で使うのではありません。ルンバウォークなどの基礎練習の際に、ダンベルを真っすぐにぶら下げて両腕に持って歩きます。重心が悪い場合、ダンベルの重みでふらついてしまいます。そうそう、ダンサーにとって足は命、間違ってもダンベルを自分の足の上には落とさないように(笑)!
著者名 眼科 池田成子