朝の挨拶に、「お早うございます」という美しい日本語がある。ダンススクールに通って3年が過ぎるが、最初に違和感を感じたのは、午後のレッスンでこの挨拶が交わされていることであった。ダンス講習会に参加しても、「お早うございます」という挨拶が、午後2時を過ぎても普通に交わされている。プロのダンスの先生は、昼夜が逆転しているという話も聞く。夜遅くまで生徒さん達のレッスンをして、零時をまわってからご自分の練習をなさる先生もいらっしゃるそうだ。実際に生徒の私が教室でレッスンを受けて、まっすぐに帰宅する時間は午前様という日もある。
さて、遅い「お早う」に慣れてしまった私であるが、診療に携わっていて『ヤバイ』と思うことがある。この現象が、当院の眼科外来でも起きつつあるのだ。長い待ち時間の後、午前をまわって診察室へ入ってこられる患者様からご挨拶を頂く。しかも笑顔で。
「池田先生、お早うございます」
これは、ヤバイ!
著者名 眼科 池田成子