関東甲信越ブロックのダンス競技会の前夜のこと、遠征先のホテルのロビーの一角にて、ウエルカムコーヒーを飲みながら、ヒューマンウオッチングをしているリーダーと私。チエックインをしているカップル客を観察しては、ダンス(明日出場予定の競技選手)かどうかを想像しながら、会話を交わしている。すると、コンパクトなスーツケースを持った背の高い男女が入ってきた。
「ダンスかしら?」
「間違いないよ。匂いで分かる。明日の試合は、同じヒートで闘う相手かも…」
今度は流行の服を着た、今風の若いカップルが入ってきた。
「ダンス?」
「うーん、違うなあ。」
「二人ともルックスが良いから、ラテン踊らせたらフロア栄えするでしょうね」
「若者がダンスしないなんて、もったいない」
今度は、50歳前後の太った男女が入ってきた。
「あの人達もダンスかしら?」
「違うだろう。」
「それにしても、メタボ!」
自分達のことは、高い棚に上げているリーダーと私。
「ところで、私達は人からどのように見られているのかしら…?」
「ダンスだろ。」
「…。」
(ダンサーは、ナルシストが多いのかも?)
今度はスーツ姿の、姿勢抜群の、長身イケメン男が入ってきた。
「アレもダンス?」
「しっ!声がでかい。ジヤッジ(審査員)の先生だ!」
著者名 眼科 池田成子