前回の新潟県スポーツダンス選手権大会では、見事決勝入りを果たした。しかし、順風満帆はそう続かない。人生、山あり谷あり落雷あり。ついに我々はカップルを結成して以来、ワーストな新記録を出してしまったのである。それは競技会に出場して、ラテン・スタンダード種目共に、一次予選でノーチェックであったこと。
競技会の採点方法は、複数のジャッジ(審査員)により採点される。今回は2種目総合で10人のジャッジによる採点であった。一次予選では12組前後の選手達が一斉に踊り出し、その中から約半数の選手がピックアップされる(チェックが入る)。最高はフルチェック(10チェック、すなわちジャッジ全員からチェックを入れてもらった場合)で、通常は6チェック以上で二次予選へと進出できる。5チェックの選手もノーチェック(0チェック)の選手も、同じく予選落ちだ。ノーチェックの場合、ゼロが10個並ぶので団子をイメージしてか、一部の選手達の間では『おだんご』と呼ばれている。
『おだんご』のお味は、格別苦い。声も出ず、お通夜のよう。1チェック足りなくて勝ち残れなかった場合は、「ヒートが悪かった(強い選手ばかりの組み合わせ)」とか「衣装が目立たなかった」とか「フロアクラフトが悪い(他の選手とぶつかる、ジャッジに背番号が見えない)」あるいは「ドングリの背比べ」などの言い訳ができるが、『おだんご』とあれば、あまりにも明白すぎて何の言い訳も出来ない。
競技会の予選の段階では、殆どリーダー(男子)の踊りを見て、ジャッジは採点するといわれる。「なぜ、『おだんご』だったのだろう…上手く踊れたはずなのに…」リーダーは、首を傾げている。「(あなたが)下手だからでしょ!」ピシャリとパートナーの一言。「下手じゃないよ、レベルが達していないだけなんだ。」 笑顔で頷いているリーダーに、この極楽とんぼ!とパートナーはキリキリ(苦笑)。ダンスは二人で行う共同作業。リーダー君、さあ明日から一緒に猛練習よ!(笑)
著者名 眼科 池田成子