社交ダンス物語 2 「初めてのダンスパーティーの巻」

コラム

 習い始めて一ヵ月後、初めてダンスパーティーに参加することになった。ジーパンでなくスカートをはいてくるよう先生から念を押された。
 ダンス会場では、自分が一番若いということに驚いた。五、六十代のご婦人達が、シンデレラのような衣装でひらひらと舞っている。初心者の私は、右左右と足を交互に出すようアドバイスを受けた。足を交互に出せと言われても、右足が二回も出てしまっている。その有様といえば、リハビリ病院で歩行訓練を受けているご老人のようであったろう。
 ダンスパーティーではマナーがあるという。それは女性の方から男性に向かって、「踊ってください」と言えないことだ。誘われるまで女性は壁の側で待つことになる。ちなみにずっと誘われない女性のことを『壁の花』と呼ぶそうだ。男性達はご婦人達を壁の花にしないよう、一曲踊り終えるとお辞儀して、次には別の女性と目まぐるしく踊っている。初めて見る光景に驚くばかりであったが、これが紳士の国イギリス発祥のスポーツなのか・・・と頷いた。
(つづく)

著者名 眼科 池田成子