社交ダンス物語 348 体内時計

コラム

 人間には、1日周期でリズムを刻む「体内時計」が備わっています。意識しなくても、日中はカラダと心は活動状態。夜間は休息状態に切り替わります。この体内時計は、ブルーライトと深く関連しています。そもそもブルーライトって何? ブルーライトとは、波長が460nm(ナノメートル)の青色光のことです。目に見える光の中で最も波長が短く、エネルギーが強いと言われています。空が青いのは、まさにブルーライトが散乱して見えるから。このブルーライトは太陽光の他に、スマートフォンやLED照明に入っています。
 
 ではここで、体内時計の仕組みについて、もう少し詳しく解説いたします。なぜ私たちは、夜は眠り、朝に目覚めるのでしょうか? 朝、光を浴びると、脳にある体内時計の針が進み、体内時計はリセットされて活動状態へと導かれます。つまり、目からブルーライトが入ると、視細胞が光を感知して脳の視床下部にある体内時計の中枢へと情報を伝えます。すると睡眠を促すメラトニンというホルモンの分泌が抑えられます。目覚めて14〜16時間くらい経過すると、体内時計からの指令が出て、再びメラトニンが分泌され、夜には睡眠を促します。メラトニンの分泌は、主に光によって調節されています。
 
 体のほぼ全ての臓器において、体内時計があるそうですね。ダンスにおいても、うちのコーチャーは「体内時計」という表現を使っています。ルンバのレッスンを受けている時、音楽に合わせて踊っていたら、コーチャーはオーディオの音量をスーッと落としました。ほとんど音が聞こえません。そこで、リーダーも自分も、はたと踊りをとめました。
「なぜ、踊るのをやめるのですか?」
音が聞こえなくなっても踊り続けるよう、コーチャーから指示されました。最初は音楽が流れています。自分たちは音楽に合わせて踊っています。また、すーっと音が聞こえなくなりました。コーチャーの言う通り、音が聞こえなくても心の中でカウントをとりながら(ダンスでいう体内時計?)、自分たちは踊り続けます。再び音量が上がりました。そこで驚愕の事実が…。自分たちの踊りは、オーディオから流れている4分の4拍子の音楽から、見事に外れていました。(ムンクの叫びマーク!)
 
 ダンスでリズムが崩れるのは、踊る時に足を前に出すことが優先で、カラダでリズムをとっていないからだそうです。もっとしっかり音を聞きなさいと指摘を受けました。ダンスで体内時計…。体全体がメトロノーム? うーん、ムズカシイ。ダンスはさておいて、体内時計のリズムが崩れるといえば、寝る前にブルーライトが目に入ると、睡眠と覚醒のリズムが乱れてしまいます。寝る前にスマホをいじっていたら、目が覚めてくるのは、その理由です。途中で目が覚めて長時間眠れなくなり、午前は元気がなくなってしまいますよ。読者の皆さま、あなたの体内時計は精密ですか? 夜間長時間のスマホの使用は控えましょうね。
 著者 眼科 池田成子