「えっ? エレベーターに立ち位置があるの?」
いささか驚かれる方もいらっしゃるのでは? ビジネスマナーでは、エレベーターにも正しい立ち位置があるのですよ。一番の上座は操作盤の奥。次席は操作盤の反対側の奥。その次は操作盤の反対側の手前。末席は操作する人。うちの病院でエレベーターに乗る際は、自分は真っ先に操作盤の横に立ちます。
立ち位置といえば、公式な場に出席なさる皇室にもあるようですね。天皇陛下の左手側に皇后陛下が位置されます。対面する側から見ると、右手に皇后陛下がお並びになっています。皇室が成立したころ、左の方が尊いとされていたそうです。なお、このような説もあります。通常、剣は腰の左側に保持し、右手で抜きます。右側が攻撃側で、左手が防御側になります。賊が出現すれば、守るべき対象は左手で守り、敵には右手で応戦します。皇后陛下が天皇陛下の左手側にお立ちになるということは、天皇陛下が皇后陛下を賊から一番にお守りなさるという所以でしょうか。
さて、私たちの身近で左右の位置関係といえば、結婚式での新郎新婦の立ち位置がそうです。新郎の左手側に新婦が立ちます。雛人形もそう。お内裏様(おだいりさま)の左手側にお雛様(おひなさま)を並べます。天皇皇后両陛下のお並び方と同じです。男の人は体を張って、女を守って下さるのね。(ハートマーク)地域によっては、雛人形の並べ方は逆になることもあるそうです。
「♪すこし白酒 めされたか あかいお顔の 右大臣」
ちなみに、右大臣と左大臣、どちらが偉いの? ズバリ、左大臣の方が地位は高いそうです。ここで、疑問を感じる方もいらっしゃるのでは? 左の地位が高いのであれば、なんで『左遷』や『右に出る者はいない』という言い回しがあるのかと。これは、古来中国の考え方だそうです。古来中国では右側に立つ者(本人達から見れば左側)の方が優れた者という決まりがあったそうです。それが由来になっているそうですよ。
話をボールルームダンスへ。ボールルームダンスの競技会では、フロアサイドで整列する際、リーダー(男子)からみて右手側にパートナー(女子)が並んで立ちます。右は攻撃側。競技ダンスでは、リーダー(男子)にとってパートナー(女子)は『武士の刀』でしょうか?(笑)アナウンスで背番号が呼ばれると、男子の右手と女子は左手をつないでフロアへ入場します。観客やジヤッジから見ると、向かって右が男子、左が女子。雛人形とは逆。通常は決勝に進出できるのは上位6組です。表彰式での立ち位置も決まっています。団体によって異なる場合もありますが、全英選手権、UK選手権、自分たちが所属する日本ボールルームダンス連盟の競技会では、優勝したカップルの本人から見て左隣に準優勝のカップルが並び、その左へ3位、4位と順に並びます。お客様から見て、一番左端に立つカップルが優勝者ですね。表彰式の記念撮影の際には、パートナー(女子)はリーダー(男子)の左側に立ちます。今度は雛人形と同じ、観客から見ると右側です。しかも、女子は男子の前に立ちます(男子は奥)。エレベーターでは上座は奥です。ダンスの表彰式の場合、前と奥、どちらが上座なの?(笑)ちなみに、新潟県選手権シニアラテンアメリカンの歴代の記念写真を見比べてみました。左上右下、自分たちチビ・ハゲの立ち位置は、決まって一番右端(みぎのはし)でした。
☆みぎのはし、ダンスの表彰式に立たせていただけるだけで、チビ・ハゲ光栄です。(笑)
著者 眼科 池田成子