社交ダンス物語 354 リーダーとパートナーの会話 36

コラム

病院の講堂には、ダンスの練習に挑戦する、病持ち50代独身男女の姿あり。年をとったら、あちこち痛い所だらけです。乱暴な言い方ではありますが、人を二つに分類するなら、「痛い所のない人=若い人」、「痛い所のある人=ご年配」でしょうか? 競技選手として、往生際悪すぎ? 脊柱管狭窄症で腰の手術を受けたリーダー(第310話)は、マタニティビクスの鏡に姿を映して、やわやわ(富山弁でゆっくり)と腰を振っています。

パートナー:「ダンス界は高齢化しているわね。」
リーダー:「関東甲信越のアマチュア競技選手の平均年齢は、70歳を超えているそうだ。」
パートナー:「えーっ! ボールルームダンスは、おじいさん、おばあさんのスポーツと思われるわね。私たち50代は、まだ若い方ね。」
リーダー:「学連の選手もいるとはいえ、ゲートボールと同じ。ボールルームダンスは、もはや老人のスポーツだ。」
パートナー:「私たち若いのに、試合では喜寿(77歳)を迎える方にも敵わないわ。」
リーダー:「……。」

本年度の前期の大会では、背骨の骨が完全にくっついていないうちのリーダーは、コルセットを腰に巻いて試合に挑戦しました。痛いのは、自分たちだけではなさそうです。シニア・グランドシニアの選手には、両膝にサポーターを巻いて試合に臨むリーダーさんやパートナーさんを見受けます。

リーダー:「10年後、ダンス界はどうなっているのだろう? 」
パートナー:「教養人たちの(第149話)、クローズドな嗜みの会になっているでしょうね。」
リーダー:「銀の花のマスター(第347話)が言っていたよ。90歳になったら、教室でダンスを教えるのは無理でも、杖をついてダンスホールは経営できるって。」
パートナー:「まあ、頼もしい!」

人生100年時代、ダンスをする人もしない人も、未来に備えましょう。
著者 眼科 池田成子