社交ダンス物語 343 チカヅカナイデ~

コラム

 謎すぎる~!危険すぎる~!派手すぎる~!透けすぎる~! 世の中には、私たちが思っている「フツウ」とはちょっと違った、ある意味では「ぶっとんだ」生き物たちが沢山いるそうですね。そんなぶっとんだ外見を持つ生き物展示『ぶっとんでるいきもの展2』が、2022年夏に新潟県立自然科学館で開催されました。その宣伝広告が印象的、威嚇ポーズをとっているアリクイが凄いのです。
「ガオ~。オネガイダカラチカヅカナイデ~」
キャッチフレーズもステキ! アリクイは後ろ足2本で立ち上がり、背中を丸めて、かぎ爪のある両手を広げ、細長い舌をチョロリと垂らしてこちらを威嚇しています。まさに攻撃モード。その威嚇ポーズ、怖くなさすぎなのか、怖いのか、滑稽なのか、可愛いのか…。うちのキッチンの壁にその宣伝広告の紙を貼って、ワクワク眺めています。(笑)

 実は自分も『ぶっとんでるいきもの展』のアリクイと同じ心境になることがあるのですよ。つまり、「オネガイダカラチカヅカナイデ~」です。仕事帰りに地元のスーパーでお買い物をしますが、自意識過剰でしょうか? スーパーの駐車場では、自分の車の隣に好んで人が車を停めるように感じられるのです。糸魚川はとても風が強い所。車のドアを開けようとして、想定外にバーンとドアが大きく開くことがあります。自分は富山ナンバーの黄色いヴィッツに乗っています。先日、運転席側のドアに、よその車の塗料が付けられていました。愛車が傷つけられるのはコリゴリですし、自分も人の車に傷をつけてはいけません。危険回避、スーパーの出入り口から遠くて、かつ誰も車を停めていない駐車スペースを狙って停めるよう心がけています。とはいえ買い物から戻ってきたら、黄色いヴィッツの隣にはよその車が鎮座!!

 「オネガイダカラチカヅカナイデ~」
さらに地元のスーパーでは、悲鳴をあげたくなることもあるのですよ。スーパーでお買い物をして車の所へ戻ったら、運転席側のドアが開けられないのです。見事に隙間なく、ピタリと貼り付くように車が横付けされています。(ムンクの叫びマーク!)仕方ないので、自分は助手席側のドアを開けて、車に乗り込みました。さらに驚くことに、ピタリと横付けさせてあるのは、運転席側同士です。相手の方も、助手席側のドアを開けて降りたのでしょうね。これって好奇心? それともイジメなの?(涙)

「オネガイダカラチカヅカナイデ~」
ダンスの競技会でも、そう叫びたくなることがあります。今はノービスからいきなりD級へ昇級できますが、競技選手が多かった昔は、F級そしてE級がありましたね。下のクラスは、試合で踊っていて相手とぶつかりそうになっても、それを回避する技を知りません。最も悲惨だったのは、F級時代のスローフォックストロット。上級選手の場合、ゆったりとした4拍子の音楽に合わせて、ロールスロイスのイメージで優雅にフロアを移動しています。あわれ下級選手のスロー、ファンファンと音を立てて暴走しているチンピラバイクのごとし。一斉にフェザーステップ、フロアの中央へ蟻のごとくに集まりて、激しくぶつかり合います(第25話)。スタートする位置が同じなら、1次予選も2次予選も同じ選手とぶつかります。ぶつかりそうになった時、うちのリーダーはコワい顔をしたパートナーさんから、手で押し返されたこともあったそうですよ。
「ガオ~。オネガイダカラチカヅカナイデ~」
F級時代の競技ダンス、思い出しますね。パートナーの自分も、試合で踊っていて心の中でそう叫んでいました。いやはや、自分もぶっとんでた? アリクイ君の宣伝広告には共感・共感!(笑)

著者名 眼科 池田成子