「ここは私のパラダイス!」
彼女にとって寮生活がパラダイスであったように、自分にもそう思える所があるのですよ。そこは、どこかですって? 糸魚川総合病院での入院生活です。35歳の冬に左足を骨折して、うちの病院の整形外科に3ヶ月入院していました。××を患う今の自分と同じ、骨折した当時も仕事と治療を両立させていましたね。朝は病室で白衣に着替え、車いすに乗ってお医者さんをします。仕事を終えたら病衣に着替えて患者さんになります。ここでは朝寝坊の心配もいりません。あの頃の病院生活は快適で天国でした。真冬に暖かいお部屋で美味しい三食付き。(当時はあんこう汁が出ました)雪かきもお掃除もしなくて良し。しかも病院スタッフは優しい。手術室では車いすや松葉杖は使えません。片足でケンケン跳びながら、自分は手術室を移動して執刀していました。(笑)糸魚川総合病院、そこは自分を応援してくださる患者さまがいて、サポートしてくれるスタッフがいて、頼りになる先生方がいて、幸せいっぱいの入院生活でした。
糸病での入院生活がパラダイスだなんて、××を患っている糸病眼科の池田はおセンチになって、病院エッセイに辞世の言葉を書き残しているのかと、読者の皆さまから心配されるかもしれません。大丈夫です。人生100年時代、彼氏ができるまで死ねませんわ!(笑)そもそも糸病がパラダイスというのは、未来進行形です。長生きしたら、自分は身寄りのない老人になります。これは内緒にしようと思っていたのですが、読者の皆さまにこっそりお伝えしますね。糸病・眼科の池田は医者を辞めた後、物忘れが始まる前にうちの病院の医事課に全財産を現金で預けて、糸病に永住させてもらおうともくろんでいます。長年過ごして慣れ親しんだ糸病は、池田の婆さんにとっては我が家のような所。病院職員は、まるで娘に息子、かわいい孫ですよ。身元保証人には院長先生がなってくれるの? ブラボー!(笑)
パラダイス、そこは安心して居られる夢のような素敵な空間。ちなみに、ダンサーであるうちのリーダーにとって、この世のパラダイスは『ダンスホール』だそうです。ダンスホール、そこは学歴、年齢、収入、身長、髪の毛のあるなしは全く関係ありません。全ては、ダンスができるかどうかです。(コワすぎ?)脊柱管狭窄症で、歩くことはおろか、立つこともままならなくなったリーダーは、ダンスしたいという一念で腰の手術を受け、不死鳥のようによみがえりました。
「全ての女性を支配できる!」
シニアラテンA級の肩書きを持つリーダーは、ダンスパーティーでラテンの曲がかかったら、水を得た魚のようにフロアへ出て、笑顔で女性をエスコートします。他方、スタンダードの曲がかかったら…。
「女の人に、手の内を読まれてしまう…。」
腰をひいてエビのようになって、フロアサイドへ退散するそうですよ。笑っちゃいけない?(笑)
☆あなたのパラダイス、そこはどこですか?
著者 眼科 池田成子